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8/25/2024, 7:37:11 AM

伸ばした指が優しく取られて
良かったと思う気持ちは嘘でなく
手の先が自分だけだったらと思う気持ちもまた
決して嘘ではなかった
笑顔で振られた手に応え
構えたレンズの向こう側
愛しききょうだいの門出を祝う
瞬間を一枚に記録した

‹やるせない気持ち›


お盆を過ぎたら

クラゲが出るから危ないよ
荒れがちだから危ないよ
引かれてしまうから危ないよ

お盆を過ぎたら

誰にも会えないから意味無いよ

‹海へ›

8/22/2024, 12:40:54 PM

好きの反対は嫌い、じゃなく無関心
嫌いの反対も好き、じゃなく無関心
でも無関心の反対は関心があるで、
其処に一つの感情も伴わない。
ズルいね、と栞を食む。
文字列を追う君は返事もしない。
何もかもオンリーワンに映る視界では
たった一つのナンバーワンになれやしない。

‹裏返し›


鳥みたいに
鈴みたいに
花みたいに
猫みたいに

なれたらきっと

君とは二度と会えないのだろうな

‹鳥のように›

8/21/2024, 9:42:40 AM

小指を絡めて約束しよう
爪を剥いで交換しよう
目合わす瞳を入れ替えて
終わりまでずっと繋いでいよう
また会いたいの
二人でいたいの
生まれ変わった先で分かるように
でもね
でもね
わがまま言うなら
もっと一緒にいたかったね

‹さよならを言う前に›

8/20/2024, 9:14:51 AM

悲しい時には雨が降って
嬉しい時には晴天で
つまらない日には吹雪いて
怒り狂えば嵐の様

そのくらいだったなら
こんなに傷付かなくて済んだかな

‹空模様›


夜の窓
止まったレンジ
磨いたシンク

写る黒髪は私ので
白い服も私のもの

後ろに揺れる金色だけが
いつまで経てども分からない

‹鏡›

8/18/2024, 1:06:49 PM

君と初めて会った日のこと
君と駄弁った帰り道のこと
君と遊んだ暑い日のこと
君と秘した寒い日のこと
君と過ごした短い日々のこと
君を
裏切り者の君を親愛したこと
オーダー通りの一部始終を
それでも君は受け入れたこと
君を
君を確かに

眇められても供える花
祈り願う花の数は

‹いつまでも捨てられないもの›


この手がこの足が
この命がこの魂が

誰かを助け何かを守り
そして平和になるのなら

そう胸を張る君のこと
一等一番の笑顔のこと
自己犠牲の英雄の盲信を

私は絶対に許さない

‹誇らしさ›


呼んでいるよと招く音
誰もいないよと呟いた
助けを求めて急かす音
誰もいないよと呟いた
藻掻き沈み恨み響く音
誰もいないよと呟いた
「一人で何をしているの?」
「何でもないよ、帰ろうか」

‹夜の海›

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