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4/10/2024, 10:23:06 AM

ええ。私、既に仕えさせて戴く約束をした方がおりますので。
……はあ、つまり、あの方よりご自身の方が相応しいと仰る。
いえいえ、貶している訳では。
私の主様は、そうですね……とても見目麗しく、同じくらいには心も美しい方、
は?いえあの。はあ、条件は満たしていると。
申し訳ございませんが、最後まで聞いて下さいませ?
ちょ、もう、離してください!

「遅かったね?」
「申し訳ございません。失礼な輩に絡まれまして」
「お前が其処まで言うのも久し振りだね」
「ええまあ、最近は少なかったものですから」
「……もっと分かりやすい所有印が必要かな」
「いいえ。大々的に自慢して参りましたから」
「……度々思うけど、お前のソレも相当だよね」
「私から、もっと分かりやすく申し上げた方が宜しいですか?」

「どのような見目でも、どれ程狂っておられようと」
「この魄が擦り切れ消える迄、私が戴く愛すべき唯一の主は」
「貴方様だけですので、御覚悟を」

「……うん、ありがとう」

<誰よりも、ずっと>

4/9/2024, 10:07:30 AM

「ほらほら、もっと寄ってってば」
「いやそのカメラで全員収めるの無理ゲーだろ!」
「此方腕ちょうだい、前列で組めばなんとか」
「ちょっと背景になってくるな!」
「いや顔認識出来なかったらアウトだからな?!」
「膝載せろ膝」
「もー!時間無いんだよー!」
「行ける行ける誰かシャッター!!」


「……ああ、良かった」
「まだ、皆の事、思い出せるね」
「一緒に、生きられるね 」

<これからも、ずっと>


ふうわりと赤い頬
緩く細められた目元
一音目の為に開かれた唇の後ろ、
緋く朱く熟れた果実が
熔ける如く潰れていく

<沈む夕日>

4/7/2024, 12:51:17 PM


熾火のようだ、と思った。
触れれば柔らかく崩れそうで、そのくせ、
触れたもの全てを熱し溶かす、静かな炎。
何れ程覗き込もうと揺るぎもしない色を、
瞬きもしない乾いた瞳を、
そっと、そうっと、どうか、
どうか火傷よ残れよと、
触れた肌は凍えるようで。
燃えていてくれと乞い願った命の炎は、
ずっと、ずっと、静かなまま。

<君の目を見つめると>


透き通るような白い肌
指先が示す金の軌跡
織り重なる暗色のマント
きらきらと歌う銀紗
くるくるひらひら踊る君は
夜空を纏う天使様のようで
一人だけのステージも
一人のためだけのステージも
此世を忘るるほど
星灯りだけの伴奏に
言葉呼吸も忘るるほど

<星空の下で>

4/5/2024, 9:41:48 AM

「それ『で』じゃなくて、それ『が』にしてよ」
「……?大差ないだろ」
「またもー……大有りなの!」
「ふーん。了解、善処する」

「……確かに言ったけどさあ」
「ーーー何でまだ此処に居るんだ?」
「見送り。君が出たらすぐ行くよ」
「なら良いが」

「本当に、これで良かったの?今ならまだ」
「これ『が』良い」
「……そっか」

<それでいい>

4/3/2024, 1:12:36 PM

「無人島に?……また、ベタな質問だな」
「ベタだからこそだろこういうのは」
「そんなもんか?…じゃあ日本列島」
「人の手で持てるモノに限る」
「大陸移動巨人説」
「訂正、お前の手で持てるモノに限るな」
「めんど……じゃあお前」
「俺?……十月十日で3kg弱はタイパが悪すぎないか?」
「そこまで人道に悖ることせんわ。大体ソレ元より十二分に母体の食事無いと成立せんだろ」
「それはそう。じゃあアダムとイブごっこでもすんの」
「クソ不毛過ぎて草」
「他何か利点無いだろー?」
「一緒に死ぬならお前が良い」
「いや生きろ?」

<1つだけ>

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