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2/10/2024, 2:30:35 PM

誰にも好かれる人とは。

優秀な人?
いいや人間は妬む生き物。
優れている程、秀出ている程、悪意が纏わり付く。

身も心も美しい人?
いいや人間は欲有る生き物。
弱い手、強い手、己の得の為に無惨に毟り取る。

平等で優しい人?
いいや人間は特別を望む生き物。
天秤を傾け、破壊し、その尊厳を踏みにじる。

では、
誰よりも劣悪で、醜く、善性の足らぬ人?
いいや、いいや、それでは関心を得られぬ。
誰もお前を見てはくれぬ。

<誰もがみんな>

2/9/2024, 10:58:52 AM

1本なら一目惚れ
3本なら愛しています
12本で付き合ってください
99本で永遠の愛
108本は結婚してください

「薔薇だけじゃないんだ」
「うん。多いやつは特にね、他でも成立するって」

2本なら二人だけ
4本なら死ぬまで変わらない
24本で一日中思っている
100本で100%の愛
365本は毎日恋しい

「頓知になってない?」
「それを言うなら1本もまあそう」

16本なら不安な
17本で絶望的

「そこまでして愛に拘る必要あった?」
「友情とか出会いの喜びとかも有るよ、一応」

「それで?」
「うん」
「こんな森の中連れてきた理由、まだ教えてくれないの」
「もう分かるから」
「ふうん?」

木々を抜けた先、鮮やかな風の色
一つたりと違えず咲き誇る永遠の庭

999本の花言葉は

<花束>

2/8/2024, 12:11:06 PM

目をたわませ、口角を上げ、歯或いは口内を見せる。
「本来は威嚇の表情が、何で好意的な物になったんだろうね」
唇の端を指でついと持ち上げる。
緩慢に瞬きを繰り返すだけの目では、ピエロにも似た薄ら寒さだけしか感じられず。
「泣くも怒るもポーカーフェイスも出来るんだぞ。感情との信頼性だって欠片も無いじゃないか」
なあ、と今度は頬ごと摘まみ上げても、顔は歪むばかりで。
「そう言うのは詳しくないけど、一つ思うのは」
赤くなった肌へ汗をかいた紙コップを添える。
「スマイル0円っていくらでもガンつけるよってことだったんだな」
「情緒殺してきたか??」

<スマイル>

2/7/2024, 10:50:57 AM

本当に誰にも知られたくないことは、
決して表にしてはいけないよ。

言葉であれ、文字であれ、態度であれ、
ひとつの油断が、ひとつの不自然が、
容易く秘密の膜を破いてしまう。

ただ秘密を暴かれるだけでなく、
事実は歪み、真実は汚され、
大衆小説が如く変質され、
誰かの捌け口に利用される。

表にしてはいけないよ。
心に封じて、想いを絶って、
身体と共に埋葬されるまで。

表にしてはいけないよ。
思い出してはいけないよ。
請い願ってはいけないよ。

『          』


<どこにも書けないこと>

2/6/2024, 1:44:05 PM

チック、タック、チック、タック
刻まれた数字は何に示されることもなく、
ただ軽い機構の音だけが響いていた。

「がっかりだよ」

黄を飾った細棒を拾い上げる。
忙しなく動くからこそ、カットの多い石がキラキラ輝くのが好きだった。

「時を止めるって言うから楽しみにしてたのにさ。
 これなら写真の方がマシだったよ」

青を飾った短棒はその手の中。
角度を変える瞬間、強く煌めく石は、過ぎた時間を数えるのにぴったりだった。

「……どうして一人で止めてしまったの」

赤を飾った長棒は、その胸貫き紅を溢れさせる。
いつも鮮やかに光を放つ、君によく似た石だった。

紅に飾られた君は眠るよう、
冷たく、永遠に、時を止めていた。

<時計の針>

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