チック、タック、チック、タック
刻まれた数字は何に示されることもなく、
ただ軽い機構の音だけが響いていた。
「がっかりだよ」
黄を飾った細棒を拾い上げる。
忙しなく動くからこそ、カットの多い石がキラキラ輝くのが好きだった。
「時を止めるって言うから楽しみにしてたのにさ。
これなら写真の方がマシだったよ」
青を飾った短棒はその手の中。
角度を変える瞬間、強く煌めく石は、過ぎた時間を数えるのにぴったりだった。
「……どうして一人で止めてしまったの」
赤を飾った長棒は、その胸貫き紅を溢れさせる。
いつも鮮やかに光を放つ、君によく似た石だった。
紅に飾られた君は眠るよう、
冷たく、永遠に、時を止めていた。
<時計の針>
2/6/2024, 1:44:05 PM