・終わらせないで
何となく終わりを察してしまった。
こんな時だけ察しが良くなったってちっとも嬉しくない。
今更になって君の考えてたこと、君の見ていたもの、君が求めていたものが分かったところで、君がここから離れることはもう変えられようがないんだ。
本当に愚かでどうしようもないね。
せめて終わりを自身の手で迎えていたのなら、まだ心は穏やかだったのだろうか。
君が下ろす幕を眺めながらそんなどうしようも無いことを考えていた。
・太陽の下で
陽の光が何もかもを照らしてくれるのなら、いっそ僕の内にあるものさえ明るく照らして暴いてくれればいいのに。
陰さえ生まれないほどに照らされて、目が眩んでその場を動けないうちに、僕の全部を君に知られてしまえばいいのに。
そしたら嘘なんかつかなくて済むし。きっと心の底から楽になれるはずなのに。
ぐちゃぐちゃした汚い感情を包み隠さずに、ありのままの自分で、君を真っ直ぐ見つめることが出来るはずなのに。
……なんて幼くて浅ましい考えは、日が昇ってる間に考えることじゃ無いんだろうなぁ。
・夫婦
何もかもを犠牲にして君を優先することは出来ないし、もし僕らが危ない目にあったら君を守れずに呆気なく死ぬと思う。
申し訳ないが君が特別なお姫様に見えることなんて無かったし、逆に僕なんかが王子様にもなれなかった。
でも雪見だいふくを1つあげたり、好きなドラマの感想をいの一番に伝えたり、綺麗な空の写真を撮って送ったり、そんな小さな幸せを分け合えるのは生涯君だけなのは確かだよ。
・キャンドル
可愛いと言いながら火を点けて、つい先程まで愛でてたソレが溶けていく様を綺麗と見つめ、己のせいで醜く変わり果てたその姿をゴミと呼ぶ。
これを人間相手にしても許されるのが今の世の中。
・たくさんの想い出
生きていく上で楽しいことや面白い想い出は増えて欲しいと思っていたけれど、結局最後は全部嫌な思い出に変わってしまったから、それなら最初から何も無い方がマシだった。
これ以上足を引っ張る想い出はもう要らない。
だからこれから先は何も起きないでいてほしい。
想い出に残ることはない毎日だけが私のところに来て欲しい。
自分だけが辛くなる想い出なんかもうたくさんだ。