・上手くいかなくたっていい
「もっとカッコつけたかったのに」
少し不服そうに言う君。
確かに、世間一般のやり方と比べちゃうとちょっとだけカッコ悪かったかも。
しかも一世一代の大勝負。予定通りに決めたかったよね。
でもそんな事、申し訳ないけど私には関係なかったんだ。
君がちゃんと覚悟して決めたこと。
君がそれをちゃんと伝えてくれたこと。
それが分かっただけで、もう十分カッコイイと思ってるよ。
だから、
「こちらこそ、不束者ですが宜しくお願いいたします」
これからも素敵なあなたの傍に居させてね。
・蝶よ花よ
可愛らしいあの子の姿を、私はそう簡単に褒めたりなんかしない。
既に出来上がった"完成品"のあの子を、私は雑に評価なんてしない。
見えない所に彼女の良さと成果が詰まっているのだから、誰が見ても分かるところだけを愛さないでほしい。
僻み?嫉妬?どうぞご勝手に。
私はそんな事で彼女の価値を下げたりなんかしないし、そんじょそこらの人間より私は彼女を分かっているので。
分かっているからこそ、私は彼女を褒めないし評価しない。
ただそれだけ。
・最初から決まってた
"最初から決まってた"?
そんなのただの言い訳じゃないか。
既に未来が確定してるなら、その間に起きた出来事や積み重ねてきた時間は必要無いでしょうが。
己が決めた選択や己に抱えてる後悔を「運命」だの「宿命」だの、そんなつまらない言葉で誤魔化すんじゃねえ!
・太陽
ちゃんと見て欲しい。
もっと近づいて欲しい。
ずっと触れていて欲しい。
目をそらさないで、距離なんか取らないで、躊躇わないで、1人の人間として向き合って欲しい。
形だけの褒め言葉なんていらない。
頼って欲しいんじゃない。
"私"を"私"として理解して欲しかった。
・鐘の音
17時だよー、と健気に教えてくれるあの音は今の子供達にも効力があるのだろうか。
思えば昔の俺にも確かに効いてたはずなのに、いつからあの音が耳に響かなくなったのか。
暗い帰り道が怖くなくなってから?
家に帰る事よりも優先しなきゃいけない事が増えたから?
もう身の危険を案じる人がいなくなったから?
まぁ理由はなんだっていいか。
今の俺にあのチャイムはなんの意味も効力もないのは事実だし。
でもまぁ出来ることなら、大人になった俺だって、あの音と一緒にまっすぐ家に帰りたい。