・鐘の音
17時だよー、と健気に教えてくれるあの音は今の子供達にも効力があるのだろうか。
思えば昔の俺にも確かに効いてたはずなのに、いつからあの音が耳に響かなくなったのか。
暗い帰り道が怖くなくなってから?
家に帰る事よりも優先しなきゃいけない事が増えたから?
もう身の危険を案じる人がいなくなったから?
まぁ理由はなんだっていいか。
今の俺にあのチャイムはなんの意味も効力もないのは事実だし。
でもまぁ出来ることなら、大人になった俺だって、あの音と一緒にまっすぐ家に帰りたい。
・つまらないことでも
校長先生の長い話とか雨の日でやることが無い部活動とか、どうしたってつまらない時間でも、君といたから思い出の1つになってるんだ。
だから君も、たまにはこの気だるくて少し面白かったあの時間を、どうか私の知らないところで振り返っていて欲しい。
・目が覚めるまでに
もう遊べない遊具で遊ぼう。
もう食べられないものをいっぱい食べよう。
もう行けないお店で買い物しよう。
もう読めない雑誌で笑おう。
もう会えない人とお話しよう。
全部夢だけど。
全部夢だから。
思いっきりやりたい事をしておこう。
いつか目が覚めても思い出さなくなる日まで。
・病室
ここには何でもある。
いつだって好きな本を読んで好きな世界に行ける。
好きな音楽を聴いて好きな感情に浸れる。
好きなお菓子を満足するまで好きなだけ食べられる。
ここに私を傷つける人はいないし、私を否定する人はいない。
私好みにレイアウトされた大好きな私の部屋、どうか私の心が治るまで好きなだけいさせてね。
・明日、もし晴れたら
今日も日記に傘マークを描く。
昨日も、一昨日も、その前も。
気づいたらずっと傘マークしか描いてない。日記を書いてる時は明日こそ天気が変わると思っているんだけど、いざ今日を振り返ってみると、やっぱり傘マークを書いている。
やだなぁ。これからもずっと同じ雨模様なのかな。
晴れなくてもいい。せめて雨が止んでくれたらいいのに。
窓越しの星空に祈りながら今日も傘マークを描く。
明日こそどうか晴れますように。