この関係がもし続いて、君は「こんなこともあったね〜。"懐かしい"」と言ってくれるように、当たり前を過ごす。
彼女は俺が家事があまりにできないせいで、同棲中は家事を全てこなしてくれている。そのうえ甘えてきてくれないせいで、俺は何をお礼にしてやれば良いのかわからない。
でも彼女は、俺がゲームをしている間、俺が好きな菓子を買って置いてくれたり、会社から疲れて帰ってきたら温かい珈琲を置いてくれていたり、何かと気遣いが凄い。嬉しい、心から喜んでいるよ、けれど、心の何処かで「お礼をくれ」と言われているような気がして…
実は自分の為に貯めていたお金があった。それを彼女のために使った。いいレストランに、いい車をレンタルして、髪をカットしてきて、頑張った。これが俺の最大の「お礼」です。受け取って下さい。
レストランのコースの後半で彼女は突然立ち上がった。俺も緊張していたから、何も言ってやることができず、ただ呆然としていた。
彼女は俺を向き、青い箱を取り出した。その中にはスフェーン──純粋、永久不変──か取り付けてある指輪を渡してくれた。
俺は自分でもわかるくらいクソみたいな彼氏だったと思う。容姿も体型も、人格も、何もかもがクソだった。そんな俺を好きでいてくれて──
「──ありがとう」
そんな俺の言葉に彼女は答えた。
「幸せだね」
テーマ∶【幸せとは】
彼女「どうかした? 暗い顔しているけれど」
彼氏「いいや、大丈夫。
ちょっと最近疲れてしまったから。
心配させてごめん。」
彼女「私は全然いいのだけれど」
✻
彼女「やっぱり何かあったでしょう。
3日前もこんな事あったよね
いつもと比べて顔が暗いんだもの
何があったの?
教えて」
彼氏「じゃあ、話すには
僕の秘密基地に行かないと
少し旅行気分になるよ。
山奥にある僕の秘密基地に行けばね」
彼女「山奥?
別荘があるの?」
彼氏「いいから、車に乗って」
✻
彼氏「あれ〜?
黙り込んでるけどどうかした?」
そこには大量の死体と、
強張ったせいで顔にとてつもない
力がかかっている彼女がいた。
何でもないフリをする。殺されたくないならね。
聞いてはいけないことがある。殺されたく
ないならね。
忘れたことにする、
彼氏がこんな人だということを。
殺されたくないならね。
テーマ-【何でもないフリ】
いいねしないでください。
これを見てもなおいいねを押した人
がいたので、いいねの数を
信頼しないものとします。
テーマ-【一筋の光】
ボクの本当の友達は、ボクを本当の意味で理解してくれている人はきっといない。ボクの友達は男ばかりで、学校以外でも遊べる時間はあるのに、まったく遊ばない。そんな、ボクからしてみれば、中途半端な関係だ。
家に帰れば変人扱いだから、もちろん孤立している。唯一の理解者は亡くなってしまった祖父くらいかな。
亡くなる3日前、祖父からメールで「会いに来てくれるかい?」と来たので、ワタシは会いに行った。そこにいた祖父はいつも以上に真剣で、今思うと死期が近いことをなんとなく察していたんだろうと思う。祖父は眼をワタシに向けて、シワだらけの頬を揺らしながら、細い肩から腕を使い起き上がった。そして小指をワタシに向けて、祖父は言った。
「儂は儂のまま生きてしまった。今程『ジェンダー』について考えられていなかったもんだし、ひどく軽蔑されると感じてしまっていたからじゃ。今は世界がそれを変えている。行きたいように生きることを許してくれておる。変わるなら今じゃぞ…」
その言葉と同時にボクの小指を掴むと、ボクと祖父の心臓が繋がる。命を懸けてボクに教えてくれた教え。
すぐお葬式があった。親戚の人達が順々に祖父の顔を覗きながら涙を零す。その涙に込められた想いは人それぞれ違うだろう。
遂に成人を迎えることが出来た。
鏡に映る自分は「髪を短くして、ズボンを履いていて、髭を生やしている」が、鏡の中の自分は「髪を長くして、スカートに足を通していて、髭が生えていない」、自分とは対の姿だった。
テーマ-【鏡の中の自分】
深いため息をついて、仕事を終わらせる。決して疲れていたのではなくて、嫌になったんだ。
奴隷じゃないけどさ、傲慢な上司にヘコヘコ頭下げちゃってさ、嫌いなのに逆らえない。何とも言えない屈辱が、オレの精神を乱す。
「辞めます。」
辞職届とともにそう言った。
あんな傲慢で、ヘラヘラしてたあいつはもういなくて、「行かないで」なんて言われちゃったりして?必死に止めてくれると思ったのに…
あっそ、たったそれだけで、オレのことを片付けた。
きっと何処かでは構ってほしいっていう想いがあったんだと思う。何時も、誰にも構ってくれないから、今日だけは!ってきっと思ってたよ。
嗚呼、めんどくせーオレ。何だよそれ。気持ち悪い。
「行かないで」なんて言われてたら、本当に行かなかったと思うか? オレ…
テーマ-【行かないで】