影山零

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この関係がもし続いて、君は「こんなこともあったね〜。"懐かしい"」と言ってくれるように、当たり前を過ごす。

彼女は俺が家事があまりにできないせいで、同棲中は家事を全てこなしてくれている。そのうえ甘えてきてくれないせいで、俺は何をお礼にしてやれば良いのかわからない。

でも彼女は、俺がゲームをしている間、俺が好きな菓子を買って置いてくれたり、会社から疲れて帰ってきたら温かい珈琲を置いてくれていたり、何かと気遣いが凄い。嬉しい、心から喜んでいるよ、けれど、心の何処かで「お礼をくれ」と言われているような気がして…

実は自分の為に貯めていたお金があった。それを彼女のために使った。いいレストランに、いい車をレンタルして、髪をカットしてきて、頑張った。これが俺の最大の「お礼」です。受け取って下さい。

レストランのコースの後半で彼女は突然立ち上がった。俺も緊張していたから、何も言ってやることができず、ただ呆然としていた。

彼女は俺を向き、青い箱を取り出した。その中にはスフェーン──純粋、永久不変──か取り付けてある指輪を渡してくれた。

俺は自分でもわかるくらいクソみたいな彼氏だったと思う。容姿も体型も、人格も、何もかもがクソだった。そんな俺を好きでいてくれて──
「──ありがとう」
そんな俺の言葉に彼女は答えた。
「幸せだね」

テーマ∶【幸せとは】

1/5/2025, 1:01:21 AM