「18歳おめでとう!あかね!」
『ありがとー。つむぎ!』
「いやーうちらも18歳かー笑」
『ねー。』
「てことはさかれこれ15年?16年?一緒にいるってことになる?かな?」
『うーんとー。じゅー…ろく?じゃない??』
「うっわーなっがぁぁぁい」
『うちらお互い知らないことある?』
「んー…ないんじゃない??」
「だってーあかねが9歳までおねしょしてたことも知ってるしー。あかねの初カレが5股しててその5股の相手が全員うちらの知ってる子達であかねが問い詰めたら手のひらかえしたようにやば夫になったのも知ってるしー。あとはー……」
『おい爆笑もうやめてくれぇぇぇ』
「聞いてきたのそっちやん笑」
『確かに笑』
「ねぇ?あかね?」
「私ずっと思ってたんだけどさ?」
『ん?』
「私ってあかねより誕生日後じゃん??」
『うんー』
「だからさー私より先にお酒飲めるようになる訳じゃん??あかね」
『うん笑まぁそーね笑』
「だからなんか先越されたらちょっと悔しいなぁって」
『……ふーん。』
「ふーんって……ひっど笑私真剣なんだけどー???爆笑」
『いやぁ……じゃぁさこうしない??』
『あたしがつむぎより先に20歳になるけどーつむぎの誕生日の日に2人ともお酒初解禁ってゆーの。どー??』
「……。」
『…つむぎ?』
「……ぃ。」
『は??』
「良い。」
『…ぶっ。』
「『あっはははは爆笑爆笑爆笑』」
『しんどいってつむぎー!』
「しんどいのはどっちだよ笑」
〜2年後〜
『つむぎ?』
「なーに。あかね。」
『つむぎ今日20歳になったね。おめでとう。』
「ありがとう。あかね。」
『……。』
「あかね??」
『…つむぎ……。』
「だからー。なーにってあかね?」
『なんで?』
「……ごめんって。」
『今つむぎ謝ってるでしょ。』
「さすがあかね。」
『ねぇ。つむぎっ泣なんで??泣なんでいなくなっちゃったの??泣なんで……っ。』
「……ごめん。」
『謝らなくていいからっ謝らなくていいから、だから、戻ってきてつむぎっ。』
「……あかね。」
『今日一緒にお酒飲む約束っしたじゃんっ。つむぎの20歳の誕生日に、お酒初解禁って言ったじゃん。なのに……なんで??』
「なんでって……病気が強すぎたからかなー?」
『病気が強すぎたとか言ってんでしょどーせ。』
「……ご名答笑さすがあかね。」
『……そんな冗談言わなくていいから。』
『もう一度だけ。もう一回だけ。一瞬だけでもいい。つむぎに……つむぎに会いたい。』
「……泣私もだよあかね。泣」
「でもさー?やっぱりまだ会いたくないかも。あかねはまだこっちに来ちゃダメ。あかねは生きて。もっと楽しいことして?恋愛して働いてお酒いっぱい飲んで?結婚して子供産んで。子供育てておばぁちゃんになって、そっちに飽きたらこっち来て?そんでそっちの話聞かせてよ。おばぁちゃんになったあかねを絶対私が見つけるから。絶対。あかねが目悪くなって私の事見えなくても、私があかねを見つけるから。だからまだこっちに来ないで。いつも見守ってるから。大丈夫。悪い男は私が寄せ付けないから。安心して。」
『つむぎ……一緒に…お酒飲んでくれる?』
「もちろん。こっちに来たらいっぱい飲む。だからあかねはお土産話頼んだよ?」
『私……つむぎのこと忘れない。いや、忘れたくてもこんな癖強いやつ忘れられねぇな爆笑』
「確かに笑」
『じゃぁ……私行くね。つむぎ。また来るね。』
「……うん。首長くして待ってるね。」
つむぎは18歳の誕生日、心臓の病気が見つかった。すごく進行していてもう止められなかった。私はつむぎとたくさんの思い出を残した。
そして半年後、つむぎの心臓は音をたてなくなった。悔しかった。でも、棺の中のつむぎは今まで見たことないくらい穏やかな表情だった。
遺書には「今までありがとう。」だけだった。もっと書いてくれても良かったのに笑でもつむぎの言いたいことは手に取るようにわかった。私たち一心同体だもんね!!
Byめめれん
「もっと強くじゃよ。命をいただくんだ、なるべく苦しくないようにしてやれ。」
無理だよ。俺は。
イノシシだぞ?畑を荒らすからと言って、近所の人は嫌がってるけど生きてるんだぞ?
そのイノシシを俺のじいちゃんは狩るといういわゆる害獣駆除をしている。
『じいちゃん、俺には…無理だ。』
「…そうか。ちょっとあっちいってろ。」
しばらくすると大きなイノシシの鳴き声が聞こえ、それから少しすると何も聞こえなくなった。
『じい…ちゃん??』
「今、終わったぞ。」
『そっか。』
山をおりて狩ったイノシシを農家の人に見せたら手を叩いて喜ばれ、俺たちはたくさんの野菜を手に抱えることになった。
「ありがたいなぁ。こんなに沢山の野菜。」
『…うん。』
「どうした。」
『いや…別に…あ、あのさ、じいちゃん』
「なんだ。」
『イノシシってそんなに悪いことしてるのかな…。そ、そりゃ、さ?農家の人が一生懸命育てた野菜を漁るのはダメな事だけど…。山をけずって土地を開いて、イノシシの餌場を削ってるのは俺たちじゃん?イノシシだって生きるためにやってることなのに…。』
「…。」
俺、言っちゃいけないこと言ったかな…。
「わしも。」
『え?』
「わしもそう思っとる。」
『…??』
「ずっと昔からそう思っとる。でもな、お前だって知っとるだろ?お前の父ちゃんはイノシシに殺された。イノシシに襲われて殺された。そして、わしの親父もイノシシに襲われた。その時は今みたいに立派な家じゃなかったから、家ごと襲われた。」
『…そう…だったんだ…。』
「そしてこの村にある儀式も知ってるだろ?」
『うん。』
「家主が死んだらそのツレの妻も一緒に墓に行くと。」
『うん。…ッ』
「泣くな男だろ。」
『泣いてないし。目から…鼻水がッ出てるだけッだッ。』
「…フッ。わかっただろ?イノシシを俺が今も狩り続ける理由が。俺の親父とお袋はイノシシに殺された。お前の父ちゃんと母ちゃんも殺された。悔しかった。だから俺は俺みたいな人を作らないために狩っている。」
『…うん。ごめんじいちゃん。変な事聞いて。』
「変なわけあるか。自分の意見を素直に言えることはいいことだ。」
『じいちゃん、俺も、じいちゃんの仕事手伝う。次はちゃんと力を入れる。だから、だからさ、俺に、教えてくれ。この家が代々受け継いでる仕事を。』
「おうよ。任せろ。」
『ありがとう。』
〜次の日〜
「おい。もっと力を入れろ。ここだよ。ここ。ここをグッと。ここをこうグッとやるんだよ。もっとだ。グッとだグッと。」
『じいちゃん。俺、やっぱ無理かも。』
「男に二言はねぇぞ。やれ。ちゃんと。命をいただけ。」
『…。』
じいちゃんはスパルタだったみたいだ。
Byめめれん
〜10年前〜 (小学生)
「ままー行ってきまーす!」
『はーい!行ってらっしゃい!』
ガチャッ
学校が楽しかった。毎日が新鮮で何もかもが面白かった。「いってきます」が好きだった。
〜5年前〜 (中学生)
「…。」
『あんた、いってきますくらい言いなさいよ!!』
「……イッテキマス。」
『はーい。気をつけて行っといで。』
ガチャッ
家を出た瞬間帰りたかった。別にいじめられてるわけでも補習がある訳でもない。至って普通だったから。勉強も運動も何もかも普通。毎日毎日同じことの繰り返し。「いってきます」が嫌いだった。
〜現在〜 (高校生)
「ママ、いってきます。」
……。
ママは仏壇の前で笑っていた。
「いってきます」を言わずに出てった私の忘れ物に気づいて、後ろから追いかけてくれていた時のこと。ママの声がして後ろを振り返った時、信号無視をしていた車にママは轢かれた。私の目の前で、私のせいで、ママは死んだ。
あの時、忘れ物をしなければ。
あの時、いってきますと言っていれば。
あの時面倒臭いと思っていた「いってきます。」
あの日から日課になった「いってきます。」
言ってもママは戻ってこない。
それでも、
「いってきます」と言えばママと繋がれてる気がする。
ママはきっと言ってくれるだろう。
『はーい。いってらっしゃいね!』
Byめめれん
どうせ適当なんだろう。
朝から何度もやっている。
4時半から8時まで何度も何度も。
でも何故だろう耳に入ってくる音声。
聞く気は全くないのに。
自分の順位が流れると耳が勝手に聞いている。
(今日のてんびん座は…残念12位です!今日のてんびん座の運の尽きを回復させるラッキーアイテムは…)
くだらない。どーせ根拠はないのに。
なぜ勝手に気分を落とされなくてはならないのだろう。
そう思いながら学校の支度をする。
私は赤い手袋を選び、家を出た。
(今日てんびん座の運の尽きを回復させるラッ キーアイテムは赤いものです。今日も元気に行ってらっしゃい!!)
Byめめれん