たった一つの希望
絶対に叶わない願いがある。
大抵の願いには、それを叶えるまでに障害がある。お金がないとか、相性が悪いとか、才能がないとか、ツテがないとか、そういうのだ。それを理由に諦める人は沢山いる。
けれど、それは乗り越えられる壁だ。他のものでいくらでも補える。とても辛いけれど、苦しいけれど、出来る人はいるのだ。やった人はいるのだ。やれる人を想像できるのだ。
私のこの思いはそういうのじゃない。違う。だって、魔法の領域だ。きっとみんなも知ってるんじゃないかな。とっても悪ーい魔女にこう言われるんだ。
「お前を○○に変えてやろう!」
ってね。
有名どころだとカエルだろうけど、私は犬か猫がいいな。うんと綺麗な獣になって、大好きな人とゆったり過ごしたい。
一つだけしか希望できないんだったら、そういう夢物語がいい。これより小さな望みは、両手じゃ持てないほど湧いてしまう。私はとっても強欲なんだ。
私の欲望。
直感的に思いついた欲を語ろう。
私は一生楽に過ごしたい。学生、そうだな、高校生の春休みくらいの忙しさがいい。遊ぶ金を手に入れるくらいのバイトをして、ほんの少し宿題をサボって、他はめいいっぱい遊んで食べてだらけて眠る。
そんな一生を過ごしたいと思った。
少し考えた欲を語ろう。
私はめいいっぱい頑張れる夢が欲しいと思った。大好きな漫画や小説の中の彼らみたいに、がむしゃらに走って転んで手を伸ばして、持てる全てで挑戦するような、そんな熱が欲しいと思った。
脇目も振れないような夢が欲しいと思った。
他にも私の欲はあるけれど、悩まず言葉を紡げる欲はこの2つ。いつも考えているこの2つ。
この矛盾が私自身だ。熱を望むくせをして、実際に手を取るのは微睡みの温かさ。熱は訪れないものかと目を閉じる。目を開けろ、望め、走れ、手を伸ばせ。心の奥底が叫んでも、怠惰な私は部屋から出ない。
ため息1つそこに置いて、やっぱり私は諦める。こんな自虐みたいな文章と一緒に、勤勉な私の心も置き去りにするんだ。