君は何を見ているんだろう
何を好んで、何を求めて、何を得ているのか
僕は知らない
ずっと君の隣にいたけれど
君を知るのが怖かった
君の頭の中に僕はいるのだろうか
”誰もが認める親友”
誰がそんなことを言ったのか
分かり合っているなんて
互いが唯一無二だなんて
笑える
想っているのは僕だけだ
僕は君を知らないし君も僕を知らないよ
いつでも完璧な君
強かに美しく輝く華
誰もが認め憧れる星
華はいつか枯れ
星は落ちるように
彼にもある
誰も知らない彼の秘密
僕と君だけの内緒事
僕にだけは見せてくれる彼の顔
僕だけが知っている
その優越感に頬が綻ぶ
彼と視線が交わるたびに知らないフリ
互いに他人のように何でもないフリ
青色の春
赤色の夏
橙色の秋
灰色の冬
色々な季節が過ぎ去った
あの頃の自分は幸せだと思えていただろうか
喜怒哀楽に勤しんだ青春のページ
思い返す今は幸せだったと思うよ
いつだって周りには誰かが、友人が、仲間がいた
”生きる”という行為には必要なもの
次の世界にはどんな人間がいるのだろうか
白紙のページが美しく彩られるだろうか
最高の仲間に出会えることを期待するよ
白い箱に隔離された箱入り息子
目を覚ましたとき
安堵と呆れが込み上げる
「もうそろそろ飽きたよ」
そう呟くと手に触れる冷たい感覚
しかし少年も生きている人間だ
次第に恐怖を感じる
「嫌だ」
恐怖を口にしてもその感覚は離れない
ましてや更に強く冷たさを感じる
何も考えたくない、何も感じたくない
そうして再び目を閉じる
眠りにつくと手のひらの感触は暖かくなる
その繰り返し
「いつまで続くんだ。さっさと死にたい」
少年の言葉を横目に白い彼はニコリと笑う
”ごめんね”の数だけ”ありがとう”がある
何て世間ではそう言うけれど
僕は謝ってばかり
君は僕に”ありがとう”と言う
その感謝の言葉は僕の心に刺さって
”ごめんね”を創り出す
だって君は僕の唯一
純粋な君に
心の熱を向けてしまう
一線を越えてしまってはもう遅いんだ