「この命が燃え尽きたとしても君を、この国の人を守りたいんだ」
あなたはそう言って笑った
自分なら大丈夫だからと
君の幸せが俺の幸せなんだと
なぜあなたが私の幸せを決めるの?
私の幸せは私が決める
私はあなたに命をかけて守って欲しいなんて思ってない
ただ一緒に食卓を囲めたら、隣で笑ってくれたら
それだけでいいのに
「命が燃え尽きるまで」
まだ街が眠っていて、お月様がそっと優しい眼差しで微笑んでいる
そんな時間の散歩が好きだ
冬にマフラーに顔を埋めながら白い息を吐き 歩くのも
夏に涼しい風を感じながら軽い足音を響かせ 歩くのも
行くあてもなくただ 歩くのも
音楽のリズムに合わせ 歩くのも
そろそろ空が白んできた
「夜明け前」
心にぽっかりと穴が空く
パズルのピースが外れたように
私がいなくなってからあの子がどれだけ私を想っていたかが分かるのは
切なくて寂しくて、けれどちょっとほっとする
「喪失感」
貝殻ひとつ おかあさんの
貝殻ふたつ おとうさんの
貝殻みっつ わたしの
貝殻よっつ みーちゃんの
貝殻いつつ あいせんせいの
貝殻むっつ えんちょうせんせいの
まだまだいっぱいある
おともだちみんなにくばれるかしら
せかいじゅうのひとみんなにわたせるかも
せかいじゅうのひとみんなとおともだちになれるかな
「貝殻」
引越しなんかしたくない
もう6年生だし仕方ないってわかってるけどやっぱり納得できない
この前学校で西日本と東日本で味付けが違うって聞いた
友達と同じ中学に行くと思ってた
ブレザーの予定だったのに学ランらしい
みんなと連絡先交換出来なかった
東京の人はみんな冷たいって聞く
海だって僕のとこの方が綺麗
空気も汚いってテレビで言ってた
漁師のおじちゃんと同じ船乗るって約束した
ゆうたと夏休みに電車で旅しようって約束したのに
全部全部違うのに
窓から見える海のきらめきだけは僕の町と同じだった
「きらめき」