5/18/2023, 9:16:01 PM
一生に一度、それも一瞬しか出会えないらしい。そんな存在に私は恋をした。
出会うための努力は惜しまない。いつどんなときだって「彼」のことを考えた。たくさんたくさん考えて、ついに私はその存在のしっぽを掴むことに成功した。
目が覚めると、隣にいてくれたはずの「彼」はいなかった。病院着には骨ばったか細い四肢と浮いた肋が包まれている。本当は知っていた。その存在を自ら求めることは、現代においては重要な罰にあたるのだと。
その存在は、何十年も待てば必ず私を迎えにきてくれるという。しかしそうではないのだ。私は「今」の私で彼に会いたいのだ。
檻を抜け出す。がむしゃらに走る。監視の目を振り切り、ようやく彼が棲んでいる場所に来た。
「待ってて」
ひとつ、飛んだ。足が地面から離れた瞬間、その存在は確かに私の元へきて微笑んでくれたような気がした。
これは、確かに恋だった。
5/18/2023, 7:03:34 AM
星も月もない空だったらどんなによかっただろう。
こんな時間でも誰かは起きている。何かは存在している。人も、物も、天体すらも僕の孤独を邪魔するのだ。
例えばそれは、息を止めても変わらないだろうか。確かめるために、僕はきらきら光る空へ身を投げ出した──