入木

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11/6/2025, 10:28:15 PM

夏が終わり、秋も過ぎて。
疲れ果てて、振り返れど。
枯れ葉にて道は途絶えて。

先を見れど、遠き面影。
道半ばにて、立ち竦んだ。

時期に冬も来るか。
雪に埋もれるでも待つか。
春でも待とうか。
それにも飽きたか。

#冬支度

11/5/2025, 3:06:13 PM

傷は既に癒えて。
跡も無く消えて。
記憶も遠く、残る物もいない。

友は遠く離れて。
愛は朝に消えた。
冬空は曇り、枯れた風の香り。

底に残る物を教えて、幸福の残り香。
そこにある物を教えて、愛情の残熱。
変わらない物を教えて、     。
流されない物を教えて、     。

それがないなら。
それもそうだね。
しょうがないね。
なら一つ叶えて。

#時を止めて

11/4/2025, 2:25:49 PM

遠ざかる音を聞いていた。
銀杏の枯葉を踏む音を
思わず伸ばした手は、
彼女の細い腕を掴んだ。
容易く折れてしまいそうな、
皮と骨だけの掴まれた腕を彼女は上げて、
「これは何のつもり?」
と酷く不快そうな顔で私に言った。
理由など無かった、
ただ、伸ばさなければ、
ただ、掴まなければ、
ここに踏みとどまらせなければ、
二度とは会えない気がして、
咄嗟に手を伸ばした。
繋ぎ止めるように、縛るように。
「ふざけないで」
端正な、青白い顔を顰めさせて、
「私は私の物よ、他の誰でもない、
ただ私だけのもの」
怒りに満ちた声はそれでもか細く、
体の弱りを露呈して、
「どうするかは私が決める、
私だけの意思で、私だけの理由で、
私だけの価値で、私だけの行動で」
それでも、それは強さに満ちて。
私の楔など引き千切る程度には。
「私は私だけの為に生きるの、
だから散り方も私が決める」
放たれた彼女は枯葉を踏んで、去っていく。
楽しげに不安定なダンスの様に。
「始まりは選べなかった、育ちは選べなかった、
習い事も、趣味も、勉強も、友達も、恋人も」
くるりと振り向いて彼女は、
「でも、最後だけは私のものだ」
せいせいとした顔で笑った。

#キンモクセイ

4/30/2025, 3:01:58 PM

放り投げた石の様な物で、
私の明日は容易く落ちるのです。
意思は薄弱に弧を描いて落ちるのです。

日は落ちてはまた登るように、
日々は繰り返して。
罅は身体を廻るのです。

軌跡は弧を描いて。
奇跡の様な日々を殺すのです。
機会を待っては、
機械の様に過ごすのです。

終わるならせめて、
あの波紋の様に残せたなら。

あの投げた石の様に。
あの落ちる日の様に。
あの軌跡の様に。

何か意味があるというのなら。

#軌跡

4/13/2025, 3:46:22 PM

足取りは左右にふらついて。
意識も同じか。
ふらりと落ちる。
アスファルトは冷たい。

ひとひらの命なら、
桜の花のように散りたかった。
ひとひらの花なら、
皆と一緒に散れたのか。
ひとひらの葉なら、
さよならは言わずにいれたのか。
ひとひらの紙なら、
何かを残せたのだろうか。

そのままでいる。
ひとひらのままで。

#ひとひら

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