『ミッドナイト』
短針と長針が上を向き切る頃に
僕は寒風の中にいた
赤本もシャーペンも部屋に置いて
ただ静寂の中に身を置いている
近い将来のことも
抱いてる夢も
全部を投げ出して
ただオリオン座を眺めている
ベルト部分の三つ星を見て
英雄も何かに縛られているのだという
そんな気分になりながら
きいきい鳴るブランコや
冷たすぎるジャングルジムと戯れながら
目を輝かしていた自分は
今どこに居るのか
星空はどこまでも静かに
行く末を見守ってくれている
『安心と不安』
月だけが照らす部屋の中で
古めかしいヘッドフォンを付けて
今日はジャズを聴いている
静かな静かな1人の場所
たまに聞こえるは自分の鼻歌
僕の時間
僕のためだけに進む時間
遠くで虫が鳴いている
それに気づいてジャズを消した
虫の音だけが聞こえる夜に
何故か涙が溢れていた
『逆光』
ぼやけた視界で見えた光が
ただ眩しく映る
手を伸ばせど届かない
それは確かに見えた光
それがレンズの悪戯だとしても
私には確かに届いていた
『こんな夢をみた』
夢か現実かわからないと言うが
私の夢にも当てはまって
キッチンの食品棚にポテチがあったから
後で食べようと思って見に行ったら
ポテチなんてなくて
そんな夢ばかりでいいと言うのに
なんで君はそんなに鮮明に出てくるのか
出てこないでいい
出てこないでいい
気落ちの具合がポテチどころじゃない
起きて確認できて安堵するような
そんな安い夢でいいのだ。
『タイムマシーン』
アポロを口ずさみながら
ぼーっと青いロボットの出てくるアニメを観ていた
ただ子供の頃には純粋に観ていた
出てくる道具に心が弾んでいた
未来に行けたら?何をしよう?
過去に行けたら?誰と会おう?
ただそれが眩しくて
想像するのが楽しかった
いつからだったろう
冷めた心が生まれたのは
「あんなのは出来ない」
「こんな事は起きない」
そうやっているうちに
子供の心など消えていった
今はアポロを口ずさむのが精一杯で
おそらく宇宙にすら行けないのだろう。