ななしの倉庫

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8/7/2024, 8:30:15 PM

※最初から決まってた

そう、最初から決まっていたのだ。

日常、政治・経済、スポーツ……全ジャンルにおいて
散々使い回された「最初から決まってた」

この一言がどれだけ難題であることか!

8/6/2024, 12:43:25 PM

白夜が終わらぬ。太陽が落ちぬ。
不吉なりと占い師が祈祷を捧げる。贄を供物とする。
されど太陽は動かず。落ちぬ、落ちぬ。
陽の光で眠れぬ夜が続き、やがて精神を蝕んでゆく。

誰かが囁いた。これは滅亡の始まりであると。
誰かが呟いた。今年だけの事なのか?と。
誰かが叫んだ。もううんざりだ!太陽は消えてしまえ!と。

けれど白夜に終わりなし。


当然だ──そうシステム管理されたドーム内に彼らはいたのだから。
「今回の研究結果、どうなりそうです?」
「白夜を数ヶ月続けても人間は狂う。今しがた結論を出したところだよ。あとは、そうだな……被検体がどこまで持つか賭けるかい?」

8/6/2024, 6:39:44 AM

鐘の音。
それは起床時間を知らせ、昼休憩を知らせ、終業時管を知らせるものだ。
しかしそれを知らない者もいる。
街に長く留まらない若い行商人たちだ。彼等の多くは入街税すら支払わないために、外壁に沿って商売をする。もちろん、街の宿屋などには泊まらずに野宿だ。
では何故行商人を続ける?──大抵は金がないからだ。
定住するには金がいる。仲介人や住居の斡旋、街の税金。それらは行商人が細く長く貯蓄して何とかなる金額ではなかった。
彼らが知っているのは、鐘の音で人の動きが変わるということだけ。無学だと詰る声もある。誇らしげに鐘や時計を語る口もある。だがそれは行商人の生活の足しにはならないと反論したりはしない。
彼らを口で攻撃する者は、行商人が戦士であることを知っている。力で勝てないと分かっているから、粗探しをしているに過ぎない。
そんな阿呆相手に商売をするのだ。勘定を誤魔化しても大抵は気づかれない。そうして貯蓄を増やす。
一端の行商人になった頃には、今度は街に嫌気が差していて、夢だったはずの定住から意識が外れる。
貯蓄は良い馬、良い餌、良い護衛に使われていく。
あまりに対応の酷い街での商売を避けて行動するようになって、ふと気づくのだ。

鐘の音が無い町や村で、自分たちを卑下する者がいないことに。

そういう所は居心地がいい。同じ野宿でも気の持ちようが違う。ゆったりと商売をして、のんびりと子育てしながら旅をする。

そして次世代の行商人は向かう。
心を荒らす、鐘の音の鳴る方へ。