私には天使と悪魔が憑いている。
私が決断しようとするたびに、両サイドから好き勝手囁いてくる。
{コッチの方がイイヨ
いやいや、アッチでしょ}
あまりにも長くあまりにもしつこいので、ある日とうとうキレ散らかした。
すると何処からともなく神様が現れこう言った。
"アナタたちがそんなにかまわなくても"
"その人間はもうすぐ死ぬから"
それを聞いた瞬間、あんなにベッタリだった天使と悪魔が、あっさりといなくなった。
心の底から安堵した。
「ああ、これで心置きなく好きなように死ねる。」
―――シボウ理由
#24【神様が舞い降りてきて、こう言った】
話を聞こう 頷こう 相槌を打とう
励まそう 慰めよう 肯定しよう
泣こう 悲しもう 打ちひしがれよう
怒ろう 叱ろう 忠告しよう
笑わせよう おどけよう 道化になろう
静かに消えよう
―――私ができること
#23【誰かのためになるならば】
ここは暮らしやすい。
四季はあるが年間通して穏やかな気候。
緑豊かで常にキレイな水で満たされている。
少し行けば岩肌見える丘陵地。
反対を行けば腰掛けられる巨大な流木。
この広く静かな世界に小さな私1人。
ある日。
天から金色の鳥籠が降ってきた。
ゆらりゆらりと。
砂を少し巻き上げ着地した。
少し傾いている。
遠巻きにそっと見ていたがそれ以降動きはない。
またある日。
丘陵地から戻るとレトロな橋が建っていた。
ここに…橋?
金色の鳥籠は流木の袂に移動していた。
そして今朝。
目が覚めると生き物が増えていた。
自分と姿形は似ているが自分の方がかなり小さい。
20ほどいるだろうか。
一気に騒がしくなり目眩がする。
どこか避難できる場所を探す。
流木に近付くと鳥籠がキラリと光った。
するりと中に入ると静けさが戻った気がした。
網目の幅からして入れるのは自分だけ。
安息地を得られほっとひと息つく。
これからはここを棲家とする。
魚なのに鳥かごとは妙なものだが。
―――アクアリウム
#22【鳥かご】
ユウジョウ?
ナニソレ?
オイシイノ?
#21【友情】
花が開いた
この日を待っていた
白く美しいその姿に見蕩れる
部屋いっぱいに甘い香りが満ちる
ああ 眼福 ああ 鼻福
一夜限りの儚い命
開いた花の内 1つを切る
広口のガラス瓶へ入れ 氷砂糖とホワイトリカーで漬ける
液体の中をゆったりと揺蕩う花
何と神々しい姿
口福まで待つことさえも至福の時
―――Queen of the Night
#20【花咲いて】