ユウジョウ?
ナニソレ?
オイシイノ?
#21【友情】
花が開いた
この日を待っていた
白く美しいその姿に見蕩れる
部屋いっぱいに甘い香りが満ちる
ああ 眼福 ああ 鼻福
一夜限りの儚い命
開いた花の内 1つを切る
広口のガラス瓶へ入れ 氷砂糖とホワイトリカーで漬ける
液体の中をゆったりと揺蕩う花
何と神々しい姿
口福まで待つことさえも至福の時
―――Queen of the Night
#20【花咲いて】
さて、今度はどの時代へ行こうか。
先月行ったあの時代は凄かった。まさかあの歴史上の大事件の裏に、あんな真実があったなんて。
タイムトラベルをするようになって数ヶ月。これまで何度も過去を見てきた。帰ってくると当然、人に話したくなる。みんなと共有したい。
だがタイムトラベルには鉄の掟がある。
『一つ、歴史を決して変えるべからず
一つ、旅先で現地人との接触不可
一つ、見聞きしてきたものは他言無用』
これを破ったものに与えられるのは「永遠の追放」、つまり「死」だ。
でも話したくて話したくて仕方がない。
ここ数日、この欲求に必死に耐えている。あの真実はみんな知っておくべきだと思うのに。
そんなある日、肩を叩かれ振り返ると、そこには鏡…いや、もう一人の自分!
驚きのあまり口をパクパクさせていると、「いいか、耐えろ。決して口にするな。口にしたらお前の未来はない。現に私は…」話の途中でもう一人の自分は消えた。
悟った。未来の自分は、欲求に耐えられず人に話し、追われる身となったのだろう。そして、それを阻止すべく過去へ飛び、私へ忠告しに来たのだろう。
そうなれば、次の目的地はただ一つ。少し前の過去へ行き、自分に言い聞かせるのだ。決して口にするな、と。
意気揚々と旅立つ。
だが失念していたのだ、その行為が鉄の掟に触れるということを。そして何も解っていなかったのだ、未来の自分が消えた本当の理由を。
―――パラドックス
#19【もしもタイムマシンがあったなら】
サマージャンボ宝くじ
1等·前後賞の当たりくじ!
アラヤダ、本音が出ちゃった♡
#18【今一番欲しいもの】
"私の名前は○○" と歌ったお針子の彼女は、病で亡くなった
"私の名は✖✖✖"と言った複製人間は、太陽に焼かれ消滅した
"名前は◇◇◇◇" と言った淡灰色の斑入の猫は、酔って水甕に落ちて死んだ
"おれの名を■■■■■"とほざいた男は、秘孔を突かれて爆死した
"私の名は△△△△・△△・△△・△△△△"と言った分家の男は、瓦礫と共に海の藻屑となった
#17【私の名前】