聲の形
声、手、耳
気持ちを使えるのは、言葉だけじゃない
「終点でーす」
「あ、ありがとうございました」
私はバスの運転手さんにぺこりとお辞儀をした
「終点です」
(新幹線って運転手さんにお礼言えないな〜…)
クタクタになった靴で駅に降りた
「うわぁ……!」
見渡す限り、人、人、人。そこは人の海だった
(なんでこんなにいるんや……!?)
まぁいいか。と私は借りるアパートに向かう
「こ、こんにちは〜……」
(フイッ)
え
ウソ今無視した!?
東京怖っ!
「えーっとこっちだったかな……」
(あの人に聞いてみるか)
「あ、あのすみません!」
「はい?」
「あの、この近くにアパートってあります……よね?」
「すみません分かりません。急いでるので……ごめんなさい」
「え……あ、ちょっ……」
ヒュウー……
(うそやん)
「や、やっと着いたっ……!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(ふぅ……)
「いやほんと疲れたわ!」
┈すみません分かりません。急いでるので……ごめんなさい┈
(あの人全然急いでるように見えんかったし……なんでなん?)
モヤモヤと心に渦が巻いた
(うわぁ……!)
外に出ると、歩きながらスマートフォンを見ている人ばかりだった
「えっ……」
(今画面見ながら人避けたよね……!?)
「すごっ!?」
(ていうかスマートフォン持ってる人ばっかりやし……私がおかしいんかな……)
遠い知らない世界
新幹線で2時間の世界
そこは面白くて
楽しくて
素敵な世界やと思った
でも
私の知らない
裏を知ってしまったような、
罪悪感があった
上手くいかなくたっていいから。同性だからってなに好きなんだからいいじゃん
「さなちゃーん!」
「やっほー」
「ねぇねぇ今日さー」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(話しかけないでこっちみないで名前呼びしないで 好きになっちゃうじゃん)
「○○さん今日時間あるー?」
「んー?あるよー?」
「遊び行こー!」
「おっけーいいよー!」
(……)はぁ
パー パー ダンダカダンッ ピューパー
「24符がよく分かんないんだけどさなちゃん分かる?」
「え、っと……わ、分かりやません」
「……そか。ごめんね!」
「ねー○○〜!ここわかんなーい」
「んー?どこどこー」
「うるさいな」
「……え?」
「……あっ」
「さな……ちゃん?」
「ご、ごめんなさいっ」
「はぁ、、はぁ」
(なんであんなっ)
「っう、うわぁぁあ〜」
(バカバカバカ!)
「うぁぁぁ〜」
「さなちゃん……?」
(はっ)
「……ゆあ……先輩……」
「大丈夫?」
「あの……」
「うん」
私先輩のこと……
「好きです」
上手くいかなくたっていい
「……え?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「さなちゃん!」
(先輩……)
「あのとき気持ち伝えてくれてありがとう!約束通り……」
「こんにちは」
「……大切な人が出来たから紹介したよ」
「……」
(ふふっ)
「おめでとうございます!先輩幸せそうで良かったです」
「……ありがとう」
上手くいかなくたってよかった
1番嫌なのはモヤモヤすること
これで良かった
気持ちは伝えた方がいい
そう思った
「カーンカーンカーン」
「ぁ〜うるせぇ〜」
「カーンカーンガーン」
「ぁあ〜もう寝れねーじゃん!」
「ガーンガーンガー、ン」
「音なんか変だし」
「グワァーン、グワァーン!」
「ぁーーー!もうなんだよ!」
......なんだ、あれ
ビュワーッ!
「うわっ!」
っ......
「...は?」
「ひ、一つだけ良いですか?」
「な、なななにお前」
「ぼ、僕星です!」
「はぁ?」
いやまぁ背中になんかずっと光って飛んでるもんあるし星っぽいかっこしてるけど...
「いや嘘つけ!」
「嘘じゃねぇよ!」
「うわっ」
「......まぁとにかく!あなたには1つお願いがあって来ました!」
「ほ、ほぉ」
「腕に貼ってるんで見てくださいっ!んじゃ!」
「は?お、おい待て!」
ビュワーッ!
「...はぁ」
ー腕に貼ってるんで見てくださいっ!ー
『ナギさまヘ。あなたハイツモ頑張て入るのでスキニなりましたツキアテ』
「なぎさまへあなたはいつもがんばているのですきになりましたつきあて」
...「はぁぁあああ!?」
『鐘の音』
「今日さ、夢の中で会わない?」
「いいよ〜。何夢?」
「うーん、2夢!」
「おっけい!じゃあその夢で!」
「うん!また後で〜」
(こころ)
「あ、夢神!」
(今日の2には、あなたにとって大切にしないといけない夢になりそうね)
「大切...?」
(私が言うことじゃないわ。ほら、行きなさい)
「...?分かった!またね!」
(子夢はいいわねぇ)
「おまたせ!優!」
「あ...こころ」
「どうしたの?いつもの優じゃないね」
「うん...実はさ」
、..え?
ー(今日の2には、あなたにとって大切にしないといけない夢になりそうね)ー
「え、あ、えっと」
「だめ...かな」
「だ、ダメじゃないよ!」
「ほんと?じゃあ...」
「うん。よろしくね」
「わぁーほんとに嬉しい!初恋夢だ〜!」
「ふふっ私も嬉しい!」
「目が覚め前にさ」
「...うん?」
「えー、、と」
「どうしたの...?なんでも受け止めるよ!」
「す、好きです!」
「...え?さっきも聞いたよ〜」
「さ、さっきは緊張しすぎてかすれてたから...もう1回伝えたいなって」
「ふふっ、そういうことね...私も好き」
深夜の2時の
夢の中の夕暮れの
君と出会った場所で
星と太陽と月が
今日もゆっくり輝いていた