5/2/2024, 1:36:40 PM
枯れ果てた。
倒れてしまいそうだった。
臓器という鉛を抱えた重苦しい身体。
耳に入る全ての音が憎らしく思えた。
涙の流し方と人への助けの求め方を忘れ、行き場のない何かが私の中で堆積する日々の果て。
疲労、疲弊とは、違う。
目の前に漠然と広がる黒色が、私に諦めろと言っているのだ。かといって抗う希望も気力も残されておらず、ただされるがままに蝕まれている。
誰ともすれ違わないコンクリートは酷く冷たい。
堕ちた。沈み尽きた。
もう全部無くなってしまえばいいのに。
そう、心から願うように思った。
その瞬間だった。風が吹いた。
優しくて、包み込むような、心地よい追い風だった。
枝毛だらけの髪がさらりと靡く。背中を押されて、自然と歩く速度が上がる。
足元の花が揺れて、彩色のなかった世界にほんのりと色が付いた。
気が付けば、息を大きく吸い込んでいた。大きく、大きく。そして、そこで私は初めて嗚咽を吐いた。
優しくしないで
4/29/2024, 10:29:39 AM
向かい来る強風に歩みが鈍る。
足元で大人しく踏まれていた桜の落花が、解放されたように宙へ浮かび飛んでゆく。
前へ進まなければいけない私は今どうしても、この風に乗って貴方に春の終わりを告げたい。
風に乗って