はぜ

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枯れ果てた。
倒れてしまいそうだった。
臓器という鉛を抱えた重苦しい身体。
耳に入る全ての音が憎らしく思えた。
涙の流し方と人への助けの求め方を忘れ、行き場のない何かが私の中で堆積する日々の果て。
疲労、疲弊とは、違う。
目の前に漠然と広がる黒色が、私に諦めろと言っているのだ。かといって抗う希望も気力も残されておらず、ただされるがままに蝕まれている。
誰ともすれ違わないコンクリートは酷く冷たい。
堕ちた。沈み尽きた。
もう全部無くなってしまえばいいのに。
そう、心から願うように思った。
その瞬間だった。風が吹いた。
優しくて、包み込むような、心地よい追い風だった。
枝毛だらけの髪がさらりと靡く。背中を押されて、自然と歩く速度が上がる。
足元の花が揺れて、彩色のなかった世界にほんのりと色が付いた。
気が付けば、息を大きく吸い込んでいた。大きく、大きく。そして、そこで私は初めて嗚咽を吐いた。

優しくしないで

5/2/2024, 1:36:40 PM