雨よ
人身御供(ひとみごくう)とは、人間を神への生贄とすること。人身供犠(じんしんくぎ/じんしんきょうぎ)とも。また、生贄の「贄(ニエ)」は神や帝に捧げる鳥・魚・新穀などの食物の意味である。(ウィキペディア参照)
私の村はこんな令和の時代には似つかわしくない昔じみた村だ。雨が滅多に降らない。降らなすぎる。そのため、村では神様に生贄を用意する。生贄は20歳から25歳の女が選ばれる。選ばれた家には給付金として、100万もの大金が支給される。私の姉がそれに選ばれた。父も母もそれを受け入れた。
私は姉を尊敬している。姉はかっこいい。そんな姉が生贄に選ばれた。悲しい。悲しい。
私は生贄に神様に差し出された。姉は殺した。生贄にしたくなかったから。この村の神様は子どもを嫌う。きっと雨は降らない。むしろ、日差しは強くなるだろう。姉を生贄とした罰だ。ざまぁみろ。
『神様へ』より
私にとって最悪な天候
告白された。いや、厳密には私の親友が私の好きな人に告白された。親友には相談はしていない。その日は嫌になるくらいの快晴。私は家に帰ったら泣き寝入りした。辛い。失恋とはこんなものかと思った。
辛かったから、親友を突き落とした。その日は気持ちいいくらいの快晴だった。
『快晴』より
最悪天候
今日、私はハワイに旅行に行く。とても楽しみだ。だって、遠くの国へ行くのだから。なんだか、天気が悪いみたい。
そして、飛行機は墜落した。私は死んだみたい。どうやら私、遠くの国じゃなくって、遠くの空へいくみたいね!
『遠くの空へ』より
ウミガメのスープ
私には彼氏がいる。彼は浮気性でいつも浮気している。だけど、そろそろ『仏の顔も三度まで』って言葉があるから、(何度もやってるから3度どころじゃあないけどね)これで許すのをやめて、キッパリ別れることにした。友達には感謝しかないね。
それで今日、デートに行っている。友達がオススメしていたお店で私も彼行ったことがない店。お店についたとき、友達からラインがきた。[彼にトイレはどこか聞いて]っていうライン。私はその通りにした。「トイレってどこ?」すると、彼ったらスラスラと場所を私に教えたの。言葉にできないくらいビックリしたわ!知らない場所で、トイレのマークもないのに!それで私は彼と別れたわ。
どうやら、友達は私の彼氏が知らない女と一緒にこのお店に入ったのを見て、このお店をオススメしたらしいの。そしてラインの送信。友達はウミガメのスープみたいな水平思考問題が好きみたい。それで、私と同じ状況の問題があって、それを参考にして送信したみたい。私は明日、友達に美味しいお菓子をあげないといけないみたい。
『言葉にできない』より
あの子はもうない。
あの子は春に産まれた。家は貧しすぎず富みすぎずのちょうどよく、容姿も美しく、まるで桜のよう。性格は自分にまっすぐだが、それが仇となり人を傷づけるような人ではない。だから、『気を病む』という状態にも至らない。
そう思っておりました。
彼女は死にました。どうやら、彼女のは双極性障害、通称、躁鬱。躁鬱とは、気分が、ジェットコースターのようにコロコロと変わる病気なのです。彼女はそれを患っていました。
どうやら、彼女は隠すことが得意なそうです。そして、今日春爛漫な日、あの子の命日でございます。
『春爛漫』より