かたいなか

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12/26/2025, 4:05:12 AM

ガチャに課金して祈りを捧げて、
回してすり抜けてそもそも最高レアが無くて、
更には人権対象を複数回、完凸まで。
なにやらタマシイジェムが濁ってにごってナゲキシードになりそうな状況を、
何度も、なんども、繰り返す物書きです。

祈りなんて届かぬのです(八つ当たり)
そんなもの、犬にでも食わせりゃ良いのです( )
なんて夢のないハナシは置いといて、今回のおはなしのはじまり、はじまり。

最近最近の都内某所、某私立図書館の中のイチバン大きな閲覧室では、
大きなおおきな、クリスマスツリーの片付け作業が、来館者が帰った夜の間に為されていました。

「ねぇ先輩!なんで図書館って!
こんな業者にやってもらった方が安全で早い作業を自分たちでやらなきゃいけないの!」
「そういうモノだからだ」

「だから!なんで!なんでッ!
図書館ってそういうモノなのって!」
「枝渡すぞ。ちゃんと受け取ってくれ」
「んんんんんああああああもう」

組み立て式のモミの木のオブジェには、
キラキラ光るLEDのテープライト、まんまる小さい玉のオブジェ、本物の靴下等々と一緒に、
今回のお題回収として、
『彼女ほしい』
『借金帳消し』
『健康ください』
『推し当たれ』
『活力百倍鍛錬第一』
様々な欲望、もとい祈りが、
星の形をした紙に書かれて、吊るされています。

「来館者に書いてもらったこの紙、」
「近くの例の稲荷神社でお焚き上げだ」
「普通に捨てるんじゃないんだ」
「らしいな」

達筆、文豪、ド直球にイラスト、等々。
図書館に来た複数の誰かの祈りを捧げて、25日まで展示されておったモミの木のオブジェです。
世界平和に打倒管理局、続編安泰云々。
誰のものとも知れない祈りを捧げて、25日には撤去される運命のモミの木のオブジェです。

祈り、いのり、イノリ。
捧げられた星の記入用紙は全部で百枚と少し。
ひとつの箱に入れられて、年末年始の願掛け用紙と一緒に、後日稲荷神社に奉納。
然るべき手順を踏んで、お焚き上げの予定です。

「先輩なにか書いた?」
「お前はどうなんだ」
「いっぱい書いた」
「はぁ」

「アレと、ソレと、ヤンヤンとニャンニャン、
来年は是非ぜひツー様とルー部長の」
「最後の枝だ。受け取ってくれ」
「はいはい」

クリスマスパーティーの準備できたよん。
遠くから別の職員が、閲覧室に向かって、大きなおおきな声をかけます。
クリスマス展示の撤去作業終了後、その私立図書館に勤務しておる職員で、
もちろん、希望者オンリーですが、クリスマスパーティーをする段取りであったのです
が、
何やらコンコンこやこや、稲荷子狐の声がするのは何故でしょうかハイ気にしない。

「よし」
来館者の祈りを捧げて飾られたモミの木のオブジェの、片付け作業もそろそろ終了。
「あとは、幹を片付ければ」
数日と経たないうちに、年末年始が始まります。
私立図書館は私立なので、年末年始も開館中。
神社っぽい展示とオブジェと、それから新しい「祈りを捧げる対象」とで、来館者を迎えるのです。

「ツルカプ万歳」
「なんだって?」
「なんでもないでーす」

クリスマスの欲望もとい、祈りを飾り続けた、図書館内のオブジェのおはなしでした。
おしまい、おしまい。

12/25/2025, 6:55:28 AM

どこかの100均のティーキャンドルが、異常燃焼を起こして酷く大きく燃え盛って、
吹いても消えなかったので、テンパって水をぶっかけて、前髪がアフロになりかけた。
遠い日のぬくもりを教訓にしたい物書きです。
キッチンの油の初期消火も、キャンドルの火の消火にも、窒息消火。酸素を奪って消しましょう。

と、いう遠い日の実体験は置いといて、
今回のおはなしのはじまり、はじまり。

最近最近、都内某所にある某杉林の中の、
山小屋というか林小屋というか、ともかくそこで、
お題回収役の男性が、パチ、ぱきん、
レトロで使い古された、しかしよくよく手入れの行き届いた薪ストーブの、火の世話をしていました。

「ここから真北1キロに、領事館があるんです」
お題回収役のその男は、世界線管理局なる厨二ふぁんたじー組織の、そこそこエリートな局員。
「ツバメ」という名前を貸与されています。
「いわゆるコロナ禍が始まる1〜2年前、
私達法務部が、不明な建造物を見つけましてね。
その初動調査に出たのが、私でした」

管理局の言う「不明な建造物」とはつまり、
この世界の外の技術・魔法・アイテム等々が使用された、異世界の建築物。
ツバメたち世界線管理局の法務部は「その世界に存在してはならないもの」を調査して、監視して、
そして、その世界がその世界で在り続けられるように、他の世界によって侵略されないように、
為すべきことを、為すのでした。

で、それと今回のお題の「遠い日のぬくもり」の
どこがどういう関係で結びつくかといいますと。

「奥多摩地域で氷点下を記録した夜でした」
パチン。 ストーブに入る空気を調整しながら、
ツバメが遠い日のぬくもりについて言いました。
「東京であそこまで下がるなど、想像しなかった私は、防寒という防寒の準備が不十分でした」

完全に油断していたんです。
ツバメはそう続けて、薪ストーブの上で熱しておった金属ケトルを下ろして、タピタピタピ。
中挽きのコーヒーの上に湯を落としました。

「完全に体が冷え切って、意識が遠のいて、
気がつけば、この小屋の中、薪ストーブの前。
チーズとハムを挟んだパンと、それから、温かいコーヒーが準備されていました。

小屋から誰かが出ていく気配がして、
礼を言おうと追っていって、しかし間に合わず、
それでもその人の影だけは……美しい女性の影だけは、間違いなく、見たんです」

恋ではありませんよ。
何かこう、奇跡に会ったというか、そんな。
神秘体験のそれですよね。
丁寧に蒸らして淹れたコーヒーを味見して、
ツバメは満足そうに、頷きます。
上手に入ったのでしょう。

「それ以来、つい最近まで、コーヒーといえばその神秘体験でした。 つい最近までね。」
ぎゃあん! ぎゃあん!
大人のホンドギツネが小屋の近くで吠えています。
パチ、ぱち、 ぱきん。
大きめの杉の薪がストーブの中で音をたてます。

「安心してください。ちゃんとオチが有ります」
コーヒーと薪ストーブの、遠い日のぬくもりを、
ツバメはこうして締めくくりました。

「女性だと思ってたその神秘、
ウチの管理局の法務部長だったんです。
男です。オネェだったんです。っていう。
……恋じゃなかったのは事実ですけど、ウチの上司の上司を、一時的に女神かなんかと……ねぇ」

もう、なんなんでしょね。うん。
ツバメはため息ひとつ吐いて、遠いその日に用意されていたものと同じ味のコーヒーを、
ひとくち、飲みましたとさ。

12/24/2025, 3:27:42 AM

前回投稿分から続くおはなし。
ノラばあちゃんにお茶会のお呼ばれをされて、
昔管理局でキツツキの名前を貸与されておった、例の稲荷神社のおばーば様が、
孫が作ったお餅を手土産に、ウッキウキで、
管理局の経理部に降臨した
の、ですが。

「あらあらあら、キーちゃん!
来てくれたのね、嬉しいわ!」

ちゅどどどど、ズドドドドド!!
コタツで編み物をしておったノラばあちゃん、キツツキばあちゃんがコタツに近づいてきてすぐに、
それこそ狐や猫が姉妹兄妹と本気でじゃれ合う程度の感覚で、すなわち「至極自然な感覚で」、
魔法だの秘術だのの撃ち合いを始めたのです!

そういえばノラばあちゃんとキツツキさん、
昔々はバディーを組んでて、
それはそれは、ヤンチャしてたって聞いたなぁ。
先にお茶会のコタツに来ておったお嬢さん・ドワーフホトが、クピクピ。
高級台湾茶を飲みつつ、
ふたりの「じゃれ合い」をボーっと見ています。

カタカタ、ことん。
お茶会会場のコタツの上で、
揺れるキャンドルが右に左に、傾きました。

何がヤバいって
日頃は編み物などしてるノラばあちゃんと
もう管理局を退局して●年のキツツキばあちゃんが
双方ドチャクソ楽しそうに
ちゅどどどど、ズドドドドド!!
管理局収蔵のチートアイテムなり
コンコンふぉっくす稲荷秘術なりを
ブッパしておることなのです。

おうおうおう。
ノラばぁの2割の本気モードだ。
久しぶりに見たぜ。
ノラばあちゃんの同僚にして、ドワーフホトお嬢さんの親友・スフィンクスが、ズズーッ。
高級台湾茶を飲みつつ、
ふたりの「じゃれ合い」をボーっと見ています。

カタタタ、たたん。
お茶会会場のコタツの上で、
揺れるキャンドルが前に後ろに、移動しました。

「アンタも元気そうでなによりだよ、ノラ、
でも見ない間にちょいと老けたねぇ」
どどどどどん!ちゅどどどどん!

「そりゃそうよ、キーちゃんのような、永くながく生きられる種族じゃないもの、
そんな無茶は言わないものよ、キーちゃん」
ドタタタタタ!タタダダダダン!

「ああ何年前だろう、あの頃が懐かしいよ」
「私も懐かしいわキーちゃん。本当に、遠慮しないで、たまには遊びに来てね」
「それこそ無茶言うんじゃないよ」
ズダダダダ!どだだだだ!
どんどんどんどんどん!チュピーン!

管理局収蔵のチートアイテムで魔砲ぶっぱのノラばあちゃんと、
強大なコンコン稲荷狐の稲荷秘術を一斉掃射のキツツキばあちゃん。
どちらも楽しそうに談笑して、楽しくじゃれて、
でも、ふたりの外は阿鼻叫喚。
カタカタたたん、揺れるキャンドルが振動に合わせて、前後左右に滑るのでした。

揺れる、キャンドルの火ではなく、
揺れる「キャンドル」のおはなしでした。
その後、ひとしきり体を動かしたばあちゃんズ2名は、とっても良い笑顔で再会の抱擁をして、
ドチャクソ幸福に、お茶会を楽しみましたとさ。
めでたし、めでたし。

12/23/2025, 6:51:07 AM

年末も近づいてきた、最近最近の都内某所です。
某そこそこ深めの森の中の、本物の稲荷狐が住まう稲荷神社は、年末年始の準備が進みます。

本物の稲荷狐が組み立てた破魔矢、
本物の稲荷狐がお祓いしたお守り、
本物の稲荷狐が清めた御札や水琴鈴。
丁寧に箱に詰めて、大晦日に備えます。

ところで今年は宿坊の、回廊をライトアップして、
美しい光の回廊にするのが吉であると、
ここの稲荷狐の家族がお仕えしている、ウカノミタマの大神様からのお告げ。

そうと決まれば美しく、稲荷神社に相応しく、
宿坊の回廊を飾りましょう。
某稲荷神社に住まう稲荷狐はさっそく、大神様からのお告げの人選に従いまして、
人間を2人ほど神隠し、もとい、稲荷狐の名のもとに借りてきたのでした。

「あの。こちらも年末の電飾の、電気設備のメンテナンス作業がですね。まだ終わってなくて」
ひとりは「ここ」ではないどこか、別の世界で、難民シェルター内のライト装飾を担当している、
カモシカというビジネスネームの男性です。

「カモシカさんだけで、十分でしょう?
照明など、私は専門外も良いところです」
もうひとりはカモシカの別部署、法務部でパトロールや警察みたいな仕事をしている、
ツバメというビジネスネームの男性です。

どちらも言い分はある模様。
でも稲荷狐の一家のおばあちゃん、人間の都合なんて、ちっとも気にしません。
「言い訳はいらないよ。さっそく取り掛かりな」
稲荷狐のおばあちゃんが言いました。
「美しく、稲荷神社らしく、なにより今年の最後に相応しい、光の回廊の案を作るんだよ」

じゃ、私はノラのやつとお茶に行ってくるから。
私が帰ってくるまでに企画書上げとくんだよ。
おばあちゃん狐は尻尾を上げて、ウキウキ振って、
ツバメとカモシカが勤める職場に、とてとて。
行ってしまったのでした。

困ったのはもちろん、ツバメとカモシカです。

「光の回廊?」
おばあちゃんが置いていった、神社の宿坊の回廊の図面を見ながら、カモシカが頭をカックリ。
「ひかりの、かいろう……らしいですね?」
宿坊の図面を一緒に見ながら、ツバメもツバメで同様に、頭をカックリ。

ただ単純に、LEDライトのテープを引っ張って、廊下という廊下をライトアップして、
はい、光の回廊です、
という案を一応、保険にひとつ。
「要するに、こうだよな?」
「それで住むなら我々はキツツキ査問官に拉致られちゃいませんよね……」
『キツツキ査問官』とは誰だって?
それはほら、お題と関係ないので放っとくのです。

「稲荷神社らしい電飾?」
「アイデアあります?」
「こっちが聞きたい」

なんだろう、なんだろな。
稲荷神社の稲荷狐に、目をつけられたのが運命。
諦めましょう、そうしましょう、ひとまず稲荷狐のコンコン依頼するとおりを為しましょう。
ツバメとカモシカは2人して、うんうん悩んで議論して、小さくイメージなどラフ画して、
「光の回廊」の元凶が帰ってくる5分前くらいまで、ずっとうんうん悩んでおったとさ。

12/22/2025, 8:52:25 AM

前回投稿分の続き物。
「ここ」ではないどこか、別の世界に、世界線管理局という厨二ふぁんたじー組織がありまして、
そこの収蔵部局員・ドワーフホトは、
前回投稿分のおはなしで、韓国の薬師の「구미호(クミホ)」、九尾狐のおばちゃんから、
産地直通、台湾茶を購入しました。

「アリサンっていう山のー、
すごく、高いところで育ったお茶なんだって〜」

はい、どーぞ。
職場に戻ったお嬢さん・ドワーフホトは、
経理部の窓際、明るく温かい日差しの入るスペースのコタツに入って、タパパトポポ、とぽぽ。

大好きな親友のエンジニア・スフィンクスと、
同じコタツに入って編み物などしてるおばあちゃん・ノラばぁちゃんに、
さっそく、バニラの美しい香りを咲かせるお茶を、
振る舞ってやるのでした。

ところでドワーフホト、台湾茶は始めてですが、
淹れ方はこれで合ってるのかしら?

「淹れ方?知らねぇよ。
俺様が美味いと思えば美味い淹れ方で、
だいたいホトが淹れる茶はサイコーに美味い」
で、アリサンってどこだ。
万年コタツムリのスフィンクスは、お茶の準備ができるまでの間でもって、
コタツのカゴから出したゆずの皮を削ります。
白くアイシングされた塩バターのシュガークッキーに、サラサラ、かける予定なのです。
「ふーん。タイワン。アリサン。だいたい1500メートルくらいで作られる茶っ葉。

……ツバメのやつに教えたらアイツぜってー長野で茶っ葉の栽培計画とか立て始めるな」

「ツバメさん、向こうに別荘、持ってるのぉ?」
「しらね。でもアイツ、最近1日1回は必ず長野の天気予報チェックしてるぜ」
「それはアレだよぉ。ツバメさんの上司さんが、どっさり降った雪で、雪遊びしたいからぁ」

「へ?」
「うん」
「……へ?」
「らしいよー」

へっッくし!
ドワーフホトやスフィンクスが座るコタツから、遠くとおく離れたあたりで、
誰かが盛大にくしゃみなど、しました。

ということでそろそろお題を回収しましょう。

「黄色い雪が、ふわーふわー」
ゆずの皮がシュガークッキーに降り積もるのを、
ドワーフホト、穏やかな幸福顔で観察します。
「積もってるね〜」

編み物が一段落したノラばあちゃんも、
ああ、これは降り積もってるねぇと、笑います。

「ちょうど良いゆずが手に入ったんだよ」
自分のアイシングクッキーにゆずを削り終えると、
スフィンクスはドワーフホトのクッキーにも、
ガリガリ、ゆず皮の雪を降らせました。
「ホト。おまえもきっと、気に入るぜ」

ガリガリ、がりがり。
親友にもゆずを楽しんでほしい、スフィンクスの想いが積もります。
ガリガリ、がりがり。
シュガークッキーに降り積もる想いは、柑橘の香りをパッと咲かせて、
バニラの台湾茶の香りと、よく混じりましたとさ。

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