12/15/2022, 12:48:18 PM
さっき席を譲ったキャベツがバスを降りるとき「どうもありがとう」とお辞儀をした。
ぼくは「いいえ、うんと甘くなってください」と言い、キャベツは「うんと甘くなってきます」と答えた。
雪待ち畑へ歩いていくキャベツを、ぼくはバスの窓から見ている。
12/14/2022, 12:09:58 PM
毎年12月になると、人の体内のイルミネーションが光り出すのだけれど、今年は電気代の高騰と環境への配慮から、自粛要請が出された。
おかげで今年は六等星までくっきりと見える。
12/14/2022, 4:04:13 AM
水と愛はセルフサービスです、とファミレスのドリンクバーコーナーに書いてある。
水と愛、どっち? と妻に聞くと間髪入れず、
水!
と答えが返ってきた。
愛からは何が注がれるんだろうか。
12/12/2022, 10:55:55 PM
朝起きたら、心が布団の外に転がっていて淋しそうに、
もう一つを探してきて?
と言った。
ずっと探してるんだけど
と言おうとしたけれど、やめた。
探すのをやめたときに見つかる話もよくある話しで〜
と、歌っておいた。
12/12/2022, 5:24:19 AM
何事にも動じない隣の席の男をどうにかして動じさせたい。
突然、ワッ! と言ってみたり、消しゴムを渡すふりをして豆腐を渡してみたり、彼の好きなアイドルのスキャンダル(ウソ)を話してみたりしたが、彼はやはり、何事にも動じなかった。
落とし穴にでも落としてやろうと考えたが、さすがにそんなことは、と思い直した。
観念して、彼に「どうしたら動じるの?」と素直に聞いてみると、「きみがぼくを好きじゃなかったら」と答えた。
落ちていたのはわたしのほうだったみたい。
恋という穴に。