また朝が来た
来なくていい朝が
今日も永遠と続く明日を終わらせよう…
夕方のこの橋は人が少ないから良い…
そっと靴を脱ぎ…橋の上にたって…
深呼吸して…飛んだ…
グシャと鈍い音と共に目が覚めた…
また朝が来た…
今日もまた…
何度も成功しない…
もう生きたくない…死にたい…
そう思えば思うほど死ねなくなっていく…
静かにまた眠って明日を待つ…
喉が渇いた…
持っていた水を飲む…
透明で…太陽の光に反射して眩しい…
この国では常識の透明な水…
この国に来るまで知らなかった綺麗な水…
嬉しかった…この国に来れたことが…
あ〜だるくなってきた…
ダメだなやっぱり…国の濁った水は…
濁ってたら毒にも気づかない…
あ〜透明な水が飲める国に生まれ変わって住みたい…
何でも出来て、友達も居て
苦手なことは何一つない…
完璧にならなくては…
そうじゃないと…親に…認めて貰えない…
休みは塾で勉強して…習い事も完璧にこなして…
友達と一緒に話して…疲れるな…
優等生になっても誰も褒めてくれない…
この前のテストの点が98点でも…学年1位になっても…
家では誰も褒めてくれない…
今日の課題は作文でテーマが
『理想の自分』
理想の自分…完璧じゃない自分…
親と仲良くて…勉強もそこそこで…
毎日が楽しい…
これを?作文に?
バカにされてしまう…
完璧にしなきゃいけないから…
「お前はすごいな!課題で出した作文!金賞だとよ!」
「はい!これからも頑張ります!」
「期待してるぞ」
期待か…しないで欲しい…
完璧なんていらない…ただちょっとだけ…
おつかれって言って欲しいだけ…
ホントの優しさが欲しい…
居場所を…
放課後の教室の窓からサッカー部の練習風景が見えた
クラスの人気な男子の早実くんの姿が目に止まった
別に彼に恋愛感情がある訳でも、特別仲がいい訳でもない
ただ名前の知ってるクラスメイトの男子…
相変わらずの人気ぶりで、恐怖すら感じる…
私は彼を窓から静かに応援してるただのファン
幼なじみだけど…
練習中毎回教室の窓からこっちを見てる女子が居る
話しかけたいが…迷惑だろう…
俺は、嫌だがファンクラブみたいな感じの集団がいる
そいつらが何するかわかんないから…
「おーい早見どこ見てんだ~!」
「わりぃ!」
「また窓から見てるな」
「あぁ、草間さんだよな、多分」
「早見よく知ってんね!俺の片思いの女子」
「佐田まじか!てか真面目に練習するぞ~」
俺は片思いを終わらせるしかないのだろう…
人気者になりたく無かった…小学から一緒で…
俺のファン第1号とか笑ってた…草間が好きだけど…
迷惑だ!私が佐田くんが好きなんて!
ありえない…噂を広めた奴ら許せん…
でも確かにいつも練習見てるけど佐田くんと早見くん近いからな距離…勘違いされても困るけど…
私は早見くん一択!佐田くんもかっこいいけど!
また昔みたいに話したいな…
「佐田!噂しってるか?」
「噂?どんな?」
「草間が佐田のこと好きって噂だよ、広めた奴小学生かよ」
「その噂まじ?」
「草間が本当に好きかどうかは知らん」
「だよな…試しに告白してみるか!」
「やめとけ振られたらどうすんだ?」
「慰めろ」
俺からしたらその噂がデマであることを願いたい
幼なじみだぞ?好きになるに決まってんだろ?
なのに…ただちょっと勉強頑張っただけなんだよ…
草間に褒めて欲しくて…昔みたいに仲良くなりたくて…
『また素直に好きって言えたら…』
この街にはとある噂がある
〈真夜中に起きていてはダメ〉
未だによくわかんないけど怖いから10時に寝ている
だけど昨日夜更かししちゃって夜中の3時に寝た
でも何も起こらなかったので所詮噂だと思い過ごした
今日は早く寝よ…
帰り道に友達と噂について話した…
「真夜中に起きてたらダメってなに?」
「お前引越しして間もないからな〜」
「気になるだろ?」
「早く寝ないと魔物が来るんだよ」
「は?魔物?」
「夢想歌って歌があるんだけど」
「なにその変な歌」
「夜更かしした後にこれを歌わないと魔物が来るんだよ」
「そっか」
わかんないよ…噂だし…
その日珍しく夢を見た
なんとも言えない生き物が自分に向かって襲いかかって来る夢だった…
目が覚めると…自分は…血の海に寝そべっていた…
泣きわめいく母を見て…声も出なかった…