「おはよう」
貴方の声が静かに響く
月光みたいな、淡くて明るい、優しい声
私の理想をぎゅっと詰め込んだような人
あの日から追い続けてる
逞しい背中をずっと見てる
恋とか愛とかそんなんじゃない
神様みたいな、そういうの
嗚呼、朝がきた
「おはようございます」
親愛なる亡き人よ、
そんな理想郷をみた。
#理想郷
お気に入りだった椅子もかなり汚れてきたので、思い切って淡い紫色のペンキで塗り替えた。
これはこれでいいな、なんて思いながら、この勢いのまま模様替えもしちゃおうか。よし、やるぞ!
やっぱり模様替えは楽しいね。大変だけど、終わった後の達成感が堪らない。
そういえば、もうそろそろ寒くなるんだっけ。
衣替えもしておこうかな。今なら気分も良いし。
楽しいね。こういうの。
わたしが新しくなったみたい。この新しくなりようには某パンのヒーローもびっくりしちゃうかも。
こういう小さな幸せが、今のわたしたちには必要なのかもね。
#衣替え
アイドルに休みなんてものは無い。
仕事が無い日でも、常に誰かに見られていると思わないと、直ぐに炎上待ったなし。
それでもアイドルに憧れて、やっとの想いでなれたんだ。
だからこれからも頑張ろう。
ミカン味の炭酸をグビっと飲んで束の間の休息をすれば、ステージへと歩を進める。
ファンの皆の期待を背負って。
#束の間の休息
拝啓
風鈴と葉擦れの音が奏でる穏やかな曲で目を覚ます今日此頃、益々の御活躍のことと存じます。
私が貴方に恋焦がれてから三年が経ちました。私は貴方に近づく為に沢山の努力をしました。然し、貴方は此の想いを御存知の筈なのにも拘わらず、振り向いて下さらない。ですから、私は諦めようと思います。ですが諦め切れないのです。もう無理だと理解しているのに、何故か諦め切れないのです。ですので、お手数ですが、御返答をお願いしたいのです。私とでは不可能な恋であると、理解させて欲しいのです。変な事をお願いしています。自覚はあります。ですが、お願いしたいのです。貴方の全ての想い込めた手紙を、欲しているのです。
それでは、これで私は貴方への想いを断ち切ろうと思います。御迷惑とお手数お掛けしましたこと、申し訳御座いませんでした。密か乍、貴方様の今後の御活躍を期待しております。
敬具
私のありのままを書いた手紙。
私の全ての想いと力を込めた手紙。
貴方は御返事をして下さいますか?
#力を込めて
「あの頃はシアワセだった。
昔は小説家になりたくて、毎日小説を書いていた。
穏やかな海の見える少し大きめの白い窓と、其の前に在る少し汚れた白い机と椅子。
其処で小説を書いていた。
上手く表現出来ない事も多かったけど、『小説』と云う幻想と現実の混ざりあった夢に触れることができて、それだけで嬉しかった。
何時か本として出せたらいいな、と思い乍只管に小説を綴った。
今もシアワセだけど、あの頃には敵わない。
憧れの本だって出せたのに、有名になって、依頼される事も多くなったのに、何故?
どうしてこんなにも虚しいの?
またあの頃みたいな新鮮さが欲しい。
また拙い字で莫迦みたいに小説を書いていたい。
そんな想いが自分を支配する。」
こんな小説なら自分も、もっと有名になれるかな。
そんな思いが頭を過ぎる。
#過ぎた日を思う