「あの頃はシアワセだった。
昔は小説家になりたくて、毎日小説を書いていた。
穏やかな海の見える少し大きめの白い窓と、其の前に在る少し汚れた白い机と椅子。
其処で小説を書いていた。
上手く表現出来ない事も多かったけど、『小説』と云う幻想と現実の混ざりあった夢に触れることができて、それだけで嬉しかった。
何時か本として出せたらいいな、と思い乍只管に小説を綴った。
今もシアワセだけど、あの頃には敵わない。
憧れの本だって出せたのに、有名になって、依頼される事も多くなったのに、何故?
どうしてこんなにも虚しいの?
またあの頃みたいな新鮮さが欲しい。
また拙い字で莫迦みたいに小説を書いていたい。
そんな想いが自分を支配する。」
こんな小説なら自分も、もっと有名になれるかな。
そんな思いが頭を過ぎる。
#過ぎた日を思う
10/6/2023, 1:14:03 PM