暇人 

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12/1/2024, 10:18:45 AM

距離

家族との距離
一・五メートル

友達との距離
三十センチ

恋人との距離
十?センチ

貴方との距離
? 
どれくらいだっけ?

測ってしまえば
案外、遠いもので

あまり
価値のあるものには思えない

空いているだけ
心が離れているなんて

嘘だ

きっと
初めから離れている

縮まるものでもないし
くっつくものでもない

空いているってことは
どれに関しても一緒でしょ

私が取ったものなのか
貴方が取ったものなのかって話で

寒くなる季節
恋人同士はゼロ距離だ

いつか
その距離が苦しくなるまで
ずっとそうだと思うけど

距離を縮めるなんて
お別れを約束しているかの様だ

それが酷く滑稽に思える

こんな私も滑稽に思える

距離感なんて
感じない方がいいんだ







11/30/2024, 10:21:12 AM

泣かないで

優しく
暖かく

誰かの手が私の背中にあった

気遣う様に
慰める様に

さすられて、泣きそうになった

こんな幸せを
私は知らない

こんな喜びを
感じた事はない

今の苦しさが
少しだけ和らいだ

まだ
頑張れるかもしれない

そう
思えた



懐かしい日の私だ

夢の中なのだろうか

あの、苦しんでいた日の私が、
今の私の前にいる

なんとかしてあげたくて
ぎゅっと抱きしめた

大丈夫、
大丈夫じゃないかもしれないけど…

今の私は
貴方よりマシな日を生きてるよ

頑張れ
生きて

あの頃の悩みも
消えてはいないけど
話せたよ

あの頃の悪癖も
まだ続いてるけど
辞めれる気がする

孤独も
埋める方法を見つけた

みんなが
埋めてくれてる

だから
もう少しだけ頑張って

みんなに会えるから

泣かないで






11/29/2024, 10:53:53 AM

暖かい手と
冷たい雨

涙のようなソレは
地面にじんわりと溶けていく

  が
すぐそこまで来ている

オリオン座が
東の方にある

太陽が
早くに沈んでしまう

冬のはじまりは
貴方とのさよならの時間

その速さで
気づく

11/28/2024, 12:53:25 PM

トントンと
肩を叩かれたようだ

意識が浮上して
ぼんやりと目を開ける

すると
よく知った顔が目に入った

「なんで、君が居るの?」

目の前の男は
困った様子で笑った

「一緒にいきたくて」

私はたぶん
呆れた顔をしている

または
悲しい顔かも



私達は
とある物語に出てくる

とある鉄道に乗っている

私達は、
メタ的に考えるなら…
終わりに向かっている

向かい合って座って
互いに、何かを話す

そして
あの場所でお別れだ



銀河を駆ける鉄道

美しい景色も
時間が止まったような静けさも

今はただ
終わりを確信するだけだ

君と乗れたのは
ほんの少しの幸いだよ

…言わないけど



だからさ
あと少しだけ…



11/27/2024, 10:18:46 AM

…数時間前

私は
私の愛した人達に

『さよなら』を告げてきた



発端は単純だった

『いつメン』と呼ばれた
部活の集まりのメンバー

その中の一人が
メンバーの一人に告白をしたのだ

そして、
相手はOKの返事を出し
二人はめでたく付き合った

そこからだ

私がおかしくなったのは

二人が手を繋いでいるのを
ずっと見ていた

二人が話す度
話を邪魔した

二人でいるのを見ると
目で追っていた

他のメンバーが
私に「おかしいよ」と言うまでは
私自身、気づいていなかった

今思えば
気づいてしまったことで
更におかしくなったのだと思う

『誰かを好きになる事』

それが

とてつもなく
恐ろしいものに感じてしまった

…そこからは
ただ、怯えるだけだった

勘違いして欲しくないのは
私は『あの二人』のことが怖いんじゃなくて
『愛し合っているあの二人』が怖いんだ

原因が分かっているから
余計に

怖くなって
何も見たくなくなって

みんなに会えなくなった



…みんな心配していた

今でも
申し訳ないと思う

私も
一目会いたいと思う

でも

次会ったら
もう、耐えられない

だからこそ

『さよなら』なんだ

これが

私の愛情なんだ



だから

これがおかしいなら
私に愛情は無いのかもね

さよなら
大好きだったよ

世界で一番
みんなの事を愛してる



蛇足

『いつメン』なんて呼ばれていた俺達の関係は
意外にも、あっさり崩れてしまった

原因?なのは
多分、アイツ

あの二人が付き合ってから
明らかにおかしくなった

おかしくなったかと思ったら
急に真面目になって

『さよなら』

なんて言って
学校を辞めた

連絡を取ろうにも
スマホが変わっているのか繋がらず

あんなに楽しかった日々は
今では曖昧にしか思い出せない

俺達の関わりは
そこからなあなあになって
自然消滅した

アイツが
何処かで幸せに暮らしてるなら
それも良いか

アイツの我儘に付き合ってやるのも
これで最期になる…と思うから

許してやるのは
アイツにまだ
情があるからなのか

…分からないな

もう
あの日々が
輪郭を持つ事はないから














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