人間未満

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10/8/2025, 10:54:47 AM

電話の着信音が鳴り響く
見たことの無い番号だ

取り敢えず
無心で通話ボタンを押した

最初の三秒は…
確か、無言だった

怪訝に思い、もしもしと
自分から呼びかけてみた

そうすると
僅かに息遣いが聞こえ
良く知った声が響いた

あのね

可愛らしく
辿々しい声だ

友人の一人に
この声の人物が居る

彼女は、深夜の一時に
一体何を伝えたいのだろうか

あのねと言った一拍後
微かに呼吸が整えられ

確かに、こう、言われた

私、大好きなの

何が…なんて
聞かなくても分かる

彼女を理解して
側に寄り添ってきた私なら

慢心じゃなく
確かに分かる

だから、死ぬの

唐突に告げられた
二言目

嗚呼そうか
漠然と、分かってしまった

彼女は孤独だったから
私も孤独だったから

大好き
愛してる
一生一緒にいたい

こんな状況でもなければ
きっと胸焼けを起こしている

止まらない愛の言葉は
彼女が背負った罪だった

私はこの罪を知らない

知らずに生きる事が
幸せとすら思ってしまった

だから
私に止める資格はない

嗚呼、悔しいなぁ

本当に?
幼い私が呼びかける

本当だよ
私は今度こそ
息の根を止める

いつの間にか
電話は切れていた

私が
切ったのかもしれない

別の番号から
電話が鳴った

もしもし
いつもの調子で呼んでみる

「あいつがどこ行ったか知らないか?」

電話口に聞こえる
焦った友人の声

この声の主も
私の友人の一人なのだ

あいつとは
誰だろうか?

態とらしく
考えてみた

私は、友人のみんなを
等しく愛しているから









9/28/2025, 11:12:46 AM

痛みが、痛みが
とても哀しい

子供のように泣きじゃくる
心の中の自分

ちがうの
ちがうのって

言い訳ばかり言う
昔の自分

怒鳴られて
馬鹿にされて

存在すらも
認めてもらえなかった自分

それが今は
必要と言ってもらえるかも

しれない…から

だから
少しだけ、この人生が

続いたらいいな

………なんて

9/24/2025, 10:12:06 AM

カチリと
ほんの小さな音が鳴って

確かにそれは
止まってしまった



二度と重ならないと
思っていたのに

針は
再び動き出している

だからこそ
何度でも

何回でも
進んで行ける

9/20/2025, 12:55:35 PM

今の気持ちを
七文字で答えよ

終わったんだな

そう、
多分そう

何度画面を開いても
何度通知履歴を見ても

そこに
その名前はない

何なら
気づいてもくれないからなぁ

チャンスがあるとすら
思えないのが悔しかった

9/18/2025, 1:45:19 PM

最期になるなら
走ったっていい

なんなら
センチメンタルになってやる


終ぞ
失われる可能性は

あまりにも無常な
通過点に過ぎない

それを自覚すれば

高笑いくらい
出来るだろうか?

私は今も
日常という物語の

何処かに住んでいる

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