…数時間前
私は
私の愛した人達に
『さよなら』を告げてきた
発端は単純だった
『いつメン』と呼ばれた
部活の集まりのメンバー
その中の一人が
メンバーの一人に告白をしたのだ
そして、
相手はOKの返事を出し
二人はめでたく付き合った
そこからだ
私がおかしくなったのは
二人が手を繋いでいるのを
ずっと見ていた
二人が話す度
話を邪魔した
二人でいるのを見ると
目で追っていた
他のメンバーが
私に「おかしいよ」と言うまでは
私自身、気づいていなかった
今思えば
気づいてしまったことで
更におかしくなったのだと思う
『誰かを好きになる事』
それが
とてつもなく
恐ろしいものに感じてしまった
…そこからは
ただ、怯えるだけだった
勘違いして欲しくないのは
私は『あの二人』のことが怖いんじゃなくて
『愛し合っているあの二人』が怖いんだ
原因が分かっているから
余計に
怖くなって
何も見たくなくなって
みんなに会えなくなった
…みんな心配していた
今でも
申し訳ないと思う
私も
一目会いたいと思う
でも
次会ったら
もう、耐えられない
だからこそ
『さよなら』なんだ
これが
私の愛情なんだ
だから
これがおかしいなら
私に愛情は無いのかもね
さよなら
大好きだったよ
世界で一番
みんなの事を愛してる
蛇足
『いつメン』なんて呼ばれていた俺達の関係は
意外にも、あっさり崩れてしまった
原因?なのは
多分、アイツ
あの二人が付き合ってから
明らかにおかしくなった
おかしくなったかと思ったら
急に真面目になって
『さよなら』
なんて言って
学校を辞めた
連絡を取ろうにも
スマホが変わっているのか繋がらず
あんなに楽しかった日々は
今では曖昧にしか思い出せない
俺達の関わりは
そこからなあなあになって
自然消滅した
アイツが
何処かで幸せに暮らしてるなら
それも良いか
アイツの我儘に付き合ってやるのも
これで最期になる…と思うから
許してやるのは
アイツにまだ
情があるからなのか
…分からないな
もう
あの日々が
輪郭を持つ事はないから
微熱
中途半端に苦しいのは
意外に辛い
普通を装える
平常に見える
頭は痛くて
ここから逃げたいのに
吐き気がして
世界が回るのに
まだ
苦しいのラインじゃないから
三十七点五の体温は
高いようで低く感じた
痛みと吐き気からくる
頭を刺す何かは
貴方の優しさを
猛毒にした
また
迷惑をかけたなぁ
申し訳なさと
不甲斐なさと
あの地獄に少しでも遠のいた
微かな喜び
明日には治るように
早く寝よう
いつもは眠りたくないのに
今日は、
眠たくてしょうがなかった
星になったのなら
あの
流れ星になったのなら
何処か、小さな町の
小さな願いを叶えてあげたい
でも
太陽が強すぎて
きっと
夜の願いしか
叶えてあげられない
君が
太陽の下で
笑っていられますように
半年前の星は
いるようでいない存在だ
太陽の様に動いたって
光の強さでしか
違いは分からない
だから
強くて大きな光の下では
みんなが
影であり、光である
瞬く星は
一光年分の願いを持って
天の川を駆ける
明日の小さな希望の為に
パチッ
彼との数センチの間に
起こってしまった電気
二人の距離を
作るように感じてしまった
これだから
セーターは嫌いなんだ
君と別れた
駅のホーム
泣きそうな顔を
セーターの袖で拭った
『○○番線、快速列車が…』
駅のアナウンスが聞こえなくなるまで、
その時まで、
まだ、
あの時の二人だから
彼と迎えた、二度目の誕生日
お気に入りのカフェでデートをした
その帰り道で
プレゼントされたセーター
きっと
終わりだったんだろうな
ヨレヨレになったセーターは
こんな終わりに相応しかった
何処か、深い場所に
落ちていく
戻れなくなる
落ちるの反対は
上がるじゃないから
彼処に帰る事はない
『スマホの中の世界は
かなり不思議な場所だ』
あの子は、
いとも容易く
そう、言い放った
スマホに触った事がないと言うあの子は
流行りの物を知らなかった
『草』ってどういう意味か分かる?
冗談混じりに聞いてみた
すると、あの子は
…意味?
ネガティブな言葉かなぁ
貶す感じの…
そう言った
…。
あの子は
変わった子だったから
『あの世界』の可笑しさに
直ぐに気づいたみたい
あの子が落ちる事は
無いのかもね
今のところは…