【雨と君】
土砂降りの雨の中、立ち尽くす君の背中。
どのくらいの時間、そうしていたのか分からないほど濡れそぼった身体を抱き締めた。
大きな蝙蝠傘の下に冷たくなった身体を招き入れて、屋根の下へ引き摺っていく。
家の中に入れて、濡れた衣服を剥ぎ取って、ざっと濡れた髪と身体を拭って、ぺたぺたと浴室まで手を引いていく。
冷たい水から少しずつ熱いお湯に変えていって、身体を洗う。
湯船に浸けて温まるまで、隣で身体を洗って、ポソポソと他愛のない話をする。
びしょ濡れの衣服を洗濯機に放り込んで、カラカラと洗う。
温かい飲み物を淹れて、暖めた部屋のソファでくつろぐ。
人心地つく頃には、突然のスコールもきっと何処かへ。
【ふたり】
寒い季節は、寄り添って。
こたつもソファも、温かい飲み物も一緒。
熱い湯船に浸かりたくて、いつも競争。
暑い季節は、つかず離れず。
空調を効かせた部屋の床に転がっては、ごろごろと冷たい所を探す。
風呂上がりの扇風機前は、いつも取り合い。
時々は喧嘩もするし、意地を張って別行動することもある。
それでも結局は、誰よりも傍に居たくて、甘えたい。
そんな風に、ふたりは生きていたいのだ。
「心の中の風景は」
嵐が来た。
極寒の冷気。極限のブリザード。
心臓は縮み上がり、ドンドコと生命の危機を叫ぶ。呼吸は浅くなり、脳内に警鐘が鳴り響く。有り体に言えば、動悸である。
嵐が去った。
穏やかな春の陽気。萌木と芽吹きの躍動。
春告鳥は雪解けを連れ、爽やかな風は新しい季節を連れて来る。
心臓はふくいくと全身に血液を送り、生命の連綿を言祝ぐ。熱い血潮が、身体中を満たす。さぁ、前を向き、歩いて行くのだ。
表面上は、スンッとしているが、中身は大騒ぎである。
「素足のままで」
いつもスリッパを何処かへ置いてきてしまう。
一回脱いだら、そのまま。
ぺたぺた、ぺたり。
今日も今日とて、裸足でフローリングの上を歩いて行く。