目が覚めるまでに
「今一番欲しいもの」
何も気にしなくて良い休日!
それから、定時退社。
あったらもっと良いヤツ?
楽しいアフター5と健康(笑)。
一番以上に、もっともっと欲しいもの。
気の置けない友人たちとの時間!
「私の名前」
祖母が大喜びで、いや大慌てで?神社に駆け込んで、神主さんが見てくれた。って話は聴いたことがある。
確か、漢字はそれで良くて、読み方は複数あったけど、どちらでも大丈夫ですよと、神主さんは仰せだったと。
祖母は、神様にもらった尊い名だと言い
父は、読み方を家族会議で決めたと言い
母は、家族会議で先に生まれた子が、
『こっちのなまえがよびやすい』と言ったのが可愛くて、決めたと言い
先に生まれた子は、はっきりとは覚えてないけど、言ったかもしれないと言い
その内に年月は流れ、思春期に差し掛かる頃には、友人たちとの呼び合いにさて何を呈示しようかと悩んだりして。
年頃の話題に当時は『初恋の相手の名前』を尋ねられる事が増え、面白可笑しく話したら大変にウケて、今では本名よりもあだ名がしっくり来るなんて、ちょっと可笑しなことになっている。
元気に走り回ってるかなぁ、近所の優しい初恋の相手。
再会したら、ちゃんと挨拶しなくちゃ。
「その節は、大変お世話になりました。私、こんなに大きくなったよ。」
『アンタの相手は、大変だったわよ。』って、ため息吐かれちゃうかな。
大人になってから知ったの、あなたが美人なお姉さんだった事。
ずっとイケメンだと誤解していて、ごめんなさい。
また逢いたいなぁ、たろちゃん。
※お相手の正体は、気の置けない友人にしか、話していないハズ(笑)。
終わりにしよう
【優越感、劣等感】
※閲覧注意※
オメガバースっぽい表現があります。
巣営(巣作り)中の表現があります。
幼馴染たち、IF世界線。
トラウマ体験あり。
好きな人の匂いに包まれて、あれはこっち、これはココ、と。
きっと喜んでくれると思って、大切に作った巣。
「誰が汚して良いっつったよ、あ?このクズが!」
怒声が降りかかって、無残に破壊された。
「さっさと片付けろ!やり直しじゃねぇか!巫山戯るなよ、テメェ!」
頭頂部に衝撃が走って、鈍い痛みがゆっくりと広がる。
「早く洗濯しろ!きっちり片付けとけ!」
何が起きたのか分からず、目を白黒させていると、肩口をどつかれる。
「…っ、あ。ご、ごめんなさい。」
見上げた相手の目は血走っていて、鬼瓦の様な形相をしていた。
ノロノロと動きの悪い身体を引きずって、洋服の山を抱き上げて、洗濯機がある脱衣所へ向かった。
その人とは、二度と会う事はなかった。
暫く立ち直れず、どんなに好きな人であっても、本能のまま動いてはいけないのだと身を以て理解した。
そうして、本能を抑えるだけ押さえ付けて、ふん縛って、隠しおおせる必要最低限度に留めて、何とか誤魔化していたら、ふと意識を失っていた。
そんな時だった。
あなたに再会したのは。
「かっちゃんが作るおうち、見てみたいなぁ。…いつか、お呼ばれしたいっ。」
あなたは賢くて、根気良く優しく接してくれた。
「あ、オレので良ければ、何でも使って!ココにあるものは、全部かっちゃんの好きにしちゃって大丈夫!パッチワークみたいにバリバリに千切っちゃってもオッケーだから。」
そう言ってクローゼットの中身を見せてくれたあなたは、とても嬉しそうにしていた。
ドア越しに、あなたの声がする。
「ね、かっちゃん?少し休憩しない?寝食忘れちゃってない?キリのいいところで、おやつにしませんか??」
ようやく、ぎこちないながらも落ち着いて巣営できるようになってきた。
「あ、追加資材を置いていくね!素材のリクエストがあったら、教えてね。」
ドアの向こうでガサゴソと音がして、洋服がドア越しに山積みになった状態で、部屋の中に入って来る。
「あと、おやつの差し入れ置いていくね!」
ズルズルと床を滑る音がして、ドアが閉まった。
「―っ、あ。ありがとう。で、出来たら、呼ぶからっ!」
あなたの優しい匂いに包まれて、フワフワと夢心地で追加資材の山に頬をうずめた。
(…幸せ。)
毎回、どんな物が出来上がるのか楽しみにしてくれている優しい人。
「ふふっ、楽しみだなぁ。」
ドアの向こう側で、大きな独り言が零れ落ちたのが聴こえた。