たろ

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3/28/2024, 9:45:07 PM


【見つめられると】

あなたの漆黒の瞳に見つめられると、
そこに吸い込まれそうな気がして、頬が熱くなる。
眩し過ぎるあなたを前に、何もかも灼け付いてしまう気がして、直視出来ない。

「…何か、付いてる?」
恐る恐る尋ねると、あなたが近付いてくる気配がする。
「何も付いてないよ。キレイだなぁって、見惚れてた。」
視線を逸らしていても、あなたはひたすら真っすぐに自分を見つめている。
「…恥ずかしい。」
頬を挟まれて、視線が合う様に顔を上げさせられる。慌てて、視線を逸す。
穴が空きそうだと、思った。

3/27/2024, 3:46:05 PM


【My Heart】

覚悟は出来ている、つもりだった。
生半可な気持ちではないと、ずっと思っていた。
相手の気持ちをどうにかしようとも、思わなかったのに。
突然、自分の心がコントロール出来なくなってしまった。
独り歩きしそうな心を抱えて、飛び出そうとする想いを抑えつける。
息が苦しくて、胸が痛くて、涙が出ようとも。
これは、表へ出してはいけないモノだと。
それを容赦なく引き摺り出したのは、あなただった。

3/26/2024, 9:15:15 PM


【ないものねだり】

ふたりの関係が、まさにそれで。
互いに『ないものねだり』をしている。
きっとデコボコで歪な形をしているのだろう。
だから、上手にくっつきたいと想うし、多少歪んでいてもくっついてしまうのだろう。

「キレイな色、良いなぁ。」
色素の薄い特異な髪と瞳の色。
「…こっちは、羨ましいわ。」
皆と違う事で要らぬ苦労を強いられたと、あなたは嘆く。
「個性なさ過ぎて、逆にイヤ。見分けつかないの、最悪だし。好きな人とお揃いなら良いけど、そうじゃないし!」
染めたいとボヤいて、唇をアヒルのように尖らせる。
「烏の濡羽色…。すごく綺麗だから、そのままで居て欲しい。」
唇を啄むように、あなたはキスをくれた。

3/25/2024, 12:44:57 PM

※閲覧注意※
IF歴史?
雑な、クロスオーバー?
訳分からんモブキャラが居るよ。
何でも許せる人向け。


《好きじゃないのに》

「あなたは、狡い人だ。」
薄紫色の物憂げな瞳を、ぼんやりと見上げる。
『あなたも、狡い人だと思いますが。』
冷たい手が頬を撫でて、長い指が首筋に絡まるのを、他人事のように感じる。
「私に心を向ける気持ちもないのに、何故訪いに応じるのです。」
狡い狡いと嘆く眼の前の人が、なんだか滑稽でくすりと笑みが溢れてしまった。
「そうやって嘲笑って、楽しいですか。」
首を横にゆるく振って、首筋に絡まる指を掴まえる。
『あなたに届かない、この声が恨めしい。』
大切な人の家族を無碍に出来る訳もないのに。それをあなたはきっと知っている。
解っているだろうに、と思えば、大層狡いのは眼の前の人なのに。
『好きでもない相手をからかうのは、酷い話ではないのでしょうか。』
家族の誰かが興味を持ったから、と興味本位で近づいて来るのは、狡くはないのだろうか。
「思わせ振りな事ばかりして、私を誂うのでしょう。酷い人だ。」
どうやって逃げようかと考えはしても、行動に移せるわけでもなく。
『思ってもいない事ばかり口になさるのは、あなたも同じでしょうに。』
なし崩しに、好き勝手されるのが常なのだ。
ひとつ溜め息を零して、やり過ごそうと決めた。

3/24/2024, 8:42:24 PM


『ところにより雨』

通学や通勤の途中に、雨が降りやすい場所がある。
『ココから、雨です。』
天気の変わり目がソコにあるみたいに、急に変わる気圧の谷のような場所。
『雨は、ココまでです。』
それは、カーテンが引いてあるかの様に、くっきりと分かれている。

「雨、降ってたの?」
居住エリアが違う友人から、不思議そうに尋ねられては、降っていたと答える。
「綺麗に分かれてるんだよね。ココから、ココまでって。」
道路も、はっきりと濡れていたり、しっかり乾いていたり。
「帰りに、しっかり傘を持たなきゃね。」
忘れないように気を付けるまでがセットだ。

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