蒼天の下、鴟尾の上
滴る山からやってきて
街を見渡し、烏は笑う
お題:どこへ行こう
■修正
蒼天の下、鴟尾の上
滴る山からやってきて
街を見渡し、無邪気に笑う
烏は羽ばたく
桜は、人を夢心地にさせる。
桜並木を歩けばまさにこの世の春で、
春に耽って、足元がおろそかだ。
桜が散ってしまえば、春の終わりを感じる。
人は途端に前を見る。
転んでしまうと、注意する。
もったいないなぁ。
陽に照らされた濃く瑞々しい葉っぱで世界は彩られる。
見ているだけどこかへ出かけたくなる。
外に出れば、春の名残りの涼やかに吹く風で体を冷やす。
気持ちが良くて、くすぐったい。
もうすぐ夏が来る。
実った努力は渋柿なのか甘柿なのか
咲いた花は徒花か
植えた種から芽が出るか
お題:物語の始まり
僕らは幸福になるために歩いている
お題:未来図
人は、何もかもがうまくいかなくなると、すべてがどうでもよくなって、頑張る気力もなくなって、心が死んでしまうらしい。
もういいやと、あてつけのように、逃げるように何日もふて寝をすると、今度は眠りすぎて頭が痛い。
本当に嫌になる。痛む頭を押さえながらベッドから体を起こすと、枕元にちょこんと置いていた思い出のぬいぐるみが目に入った。
ああ、あの日は人生で一番楽しかった。夢のような一日の一秒一秒が、小さな花びらの形をしてひらひらと心に落ちる。そのうちのひとひらが、「楽しかったね!」と笑い合う私たちが、ひどく輝いていた。それでいて、ひどく痛烈だった。
人生とは、どうしていつも極端なのだろう。良いことばかりでなくとも、ほどほどだったらいいのに。
……なんて、思えはしない。
思い出のぬいぐるみを抱きしめる。こみ上げる涙をぬぐって、スマートフォンを手に取った。
まだ、頑張れる気がした。
お題:ひとひら
テーマ:道理
■修正
ああ、頭が痛い。
意識が先か、痛みが先か、自覚した途端に意識が浮上して、痛む頭を押さえながらベッドから体を起こした。
何日もふて寝をしたせいで、体は重くて節々が痛むし、喉はカラカラで、最悪な気分だった。
「あはっ。すでに人生において最低最悪な状態だと思ってたけど、底打ちしないんだ」
すべてがどうでもよくなって、頑張る気力もなくなっているのに、体はひどく水を求めていた。無気力よりも不快感が勝ってベッドから離れ、冷蔵庫を開ける。ペットボトルの水を飲み干すと、頭が少しクリアになる。
「……」
生き返る心地だった。けれと生き返った分だけ、感じなくなっていた痛みを感じる。
「なら、死んだままのほうがいいじゃんね」
苦しくて、また全てを投げ出したくなって、布団にくるまろうとベットへ向かう。
ふと、枕元にちょこんと置いていたぬいぐるみが目に入った。
ああ、あの日は人生で一番楽しかった。その思い出を忘れたくなくで買ったぬいぐるみ。見つめるほどに思い出す夢のような一日の一秒一秒が、小さな花びらの形をしてひらひらと心に落ちる。そのうちのひとひらが、「楽しかったね!」と笑い合う私たちが、ひどく輝いていた。それでいて、ひどく痛烈だった。
「……楽しかったなぁ」
ぬいぐるみを抱きしめる。
人生とは、どうしていつも極端なのだろう。いいことばかりでなくともほどほどだったらいいのに。最高なんてない代わりに最低がない方がいい、……なんて、思えはしない。
こみ上げる涙をぬぐって、スマートフォンを手に取った。
まだ、頑張れる気がした。