烏兎

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4/3/2025, 12:04:22 PM

兄が被る王冠が輝いて見えていた。
いつも澄ました顔で玉座に座っていたから、
僕にもできると、やってみたいと思ったんだ。
いたずらで被った王冠のあまりの重さに
笑顔を作るどころか顔を上げることもできなくて、
それで、やっと王の務めを知ったんだ。

テーマ:責務

4/2/2025, 4:11:24 PM

 ひどく硬くて重たい塊を抱えていた。
「重いよ、捨てたいよ」
 泣きながらそう訴えるけど、そういえば言うほど、どうしてかこの腕はぎゅうと塊を抱きしめた。
 手放し方がわからない。壊すこともできない。
「重たいよ、苦しいよ。どうすればいいの」
 日に日に重くなっていく塊が、この足の歩みを止める。とうとう立っていられなくなって、座り込んでしまった日に、風船を持ったその人は言った。
「ねぇ、空を見てごらんよ」
「空?」
「だって、君はいつも俯いている。もったいない。今日の空は、一段と綺麗なのに」
 ほら、と人差し指が天を指す。つられて顔を上げると、ああ、確かに。柔らかな日差しは微笑むように、私にも降り注いでいる。
「綺麗だね」
 すると、体が軽くなったような気がして、はたと見たこの手は、風船がくくられた紐を握り締めていた。
「飛ばすなら今日は絶好の日だね」
「なら、話を聞いてくれる?」
「いいよ。僕の話も聞いてくれるならね」

お題:空に向かって

3/30/2025, 6:40:40 AM

血肉となった言葉を
まるでバレリーナのような美しさで
物語を彩るとき

お題:小さな幸せ

3/28/2025, 2:44:01 AM

式典後、
緊張ほどけた
新入生の花笑み

お題:春爛漫

3/26/2025, 2:31:06 PM

春爛漫な花の色

お題:七色

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