此処

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10/15/2022, 4:27:15 AM

空を飛べる友人がいる。
好物はたまごの入ったサンドイッチ。

なぜ飛べるのか、と昼食を食べている時に聞いた。(言うまでもないけど、友人はたまごの入ったサンドイッチを食べていた。いつもそれだ。)

「私が天使だから」
「ふうん…」
なんとなく辟易した。こともなげに言うもんだから。

「飛んでみる?」
「…ええ?」

下校しようと昇降口に来た時に誘われた

「ほら、空中散歩だよ」
「ものはいいようだね」
「口達者ってよく言われる」

友人と私はハグをするような体制で空へ上がっていった。ハグというか、必死に掴まっている風だけど。

「怖い!怖い!!」
「怖くない怖くない」

いやこわいって…

なれたら悪くなかったけどさ

10/12/2022, 1:50:10 PM

放課後…アウトドアでも、まして外交的でもない僕は、放課後にともだちと遊ぶとか、そういうのはあまりしたことがないのだれけど。

だからといって、放課後が楽しくないわけじゃあないのだ

僕を縛るものから解放されたその自由な時間は、僕にまっしろな羽をくれる。

何をしよう?

本でもいい。勇敢な戦士になって異世界を冒険しよう

映画でもいい。美しい一葉一葉に心を揺さぶられよう

ゲームでもいい。たくさんの人とすれ違おう

思い切って散歩でもいい。坂を下ったら海がある

アイスを食べるのもいい。のら猫はじとっと見つめてくるだろう

何をしよう? 

楽しいことはたくさんある。放課後なのだから、時間だってたくさんある。

何をしよう?

まっしろな羽を広げて、僕は放課後を飛んでいった。

10/11/2022, 12:47:12 PM


なびくカーテン。絵に描かれるのは優雅に美しく揺蕩うように舞うカーテンだけれど、
おあいにく、
私の思い出じゃあ黒板を写すのを邪魔してきたり、
窓に濡れたみたいに張り付いた、そんな優雅とはいえないのがカーテンだ。

だけど、あ…いや、だから、

あの瞬間のぶふぁりと力強く波打った、あのカーテンを強く胸に刻めている。

斜陽は賢くそこに光をさして、風は得意げに吹いた。髪の毛は処世術に少しも逆らわずに視界に入り込む。
黒板は眠っている。窓枠にくり抜かれた明かり。

美しいとはまさにあの光景を指していて、自分は神の気まぐれでそれを見せてもらえたのだと分かった。

美しいを見た瞬間、自分は洗われて、とても純粋なものになれた気がした。

不恰好なカーテン。だけれどあの時は、ものすごく優雅だった。

9/16/2022, 12:27:59 PM

空は孤独…、だろうか。

私は詳しくないけれど――本当に詳しくない、残念だけど――この地球にあるあの青い空を、他の星で見たことがない。

あったとしても、ずぅっと遠く…声の届かない所なんじゃないかな。
自分と同じでないものばかりあふれた世界は、うん、…きっと孤独だ。

あ、いや、でも私たちがいるのか。

ちっぽけでなんの頼りにもならないけど、それでも空には私たちがいる。植物や、他の生き物だっている。
もしかしたら、雲とは親友かもしれない。

それなら、空は孤独じゃない。

雨は悲しいんじゃなくて、雲の上のパーティーが楽しすぎて思わず降らしてしまうのかも。

雷はおこってるんじゃなくて、太陽とのお喋りが嬉しすぎてパチパチしてしまうのかも。

それなら安心だ…。空は孤独じゃない。空は泣いてない。空は…ずっと元気に笑ってる。

9/15/2022, 4:03:29 AM

私の友達は…私と友達なの。
ああ、ごめんなさい。わかりにくかったわよね。
私は紙なの。そう、植物とその他の繊維を膠着させてつくった、字や絵をかいたりする、あの紙。

あの子は…私に自分の思いを吐き出す。きっと人間には言えないのね――内容も、気持ちの良いものばかりとは言えないし。

だから、人間ではない、だけれど友達の私にあの子は言う。思いを、考えを。
熱烈なそれは、時に苦しくなることもあるけれど。

…ええ、受け止めるわ。そう難しいことではないの。
あの子とはずぅっと昔から友達よ。助けてあげたいと思うの。

受け止めるわ――そう、消えるまで。私が燃やされてしまうまで。この命が燃え尽きるまで、ずっと。

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