宇宙の概形をきちんと図解できるひとがいたことを、覚えていますか。そう、あの榛色の目をしたひと。彼は素晴らしかったね、生きていたらきっと立派な学者になっていたのにね。ほら火をつけて。燃やして、無にして、生まれ直して。我々はみんな頭が悪い、だから殺意に愛とか名前をつける。解答はほとんど不正解、生き永らえて、いつの日からか泣かなくなった。あの日の涙の行方を思う、蒸発して、雲になり、雨になって君の頬へと滴っているなら私よりも雄弁な愛。

空が泣く

戦闘民族であることを思い出してください。罪を重ねて生きてきました、詐欺、窃盗、殺人、なんでもやりました、生き残るためだったので。今日も私は好戦的です、君のおかげで、もちろん君のせいで、惨敗したくて争い始めた訳がない、地球が焦土になるからって関係ない、必死なんです、他の全てを見捨てても、君ひとりだけに勝利したい。

君からのLINE

僕は太陽を飼い殺す、きみが好きだってことを、きみにだけは知られたくなかった、僕の中の血肉がこすれあって火花を散らす、炎を見ると安心するのは僕の体内で唸り上げる火災の一部を移し替えられるから、助かりたくて水を飲む、きんと冷たい液体が、流れ落ち、喉を焼く、とうとう終わりだ、何もかも僕がやったんだ、太陽を直視したかった、僕は死んだあとに幸せになろうと思う、遺灰から、綺麗なルビーが見つかりますように。

命が燃え尽きるまで

走らなきゃ。大切な友だちなの。はじめてあたしと遊んでくれた。知らない言葉を教えてくれた。眠れない日に歌ってくれた。あたしあの歌うたえるようになったんだよって、まだ言ってない。あのとき知らんぷりしてごめんなさい、だって先生が言ったの、生き物は心臓を10億回打ち終わったら死ぬんだって、あたし怖かったの、まだきみと遊んでたかった、ずっと夜でいいよ、きみがいなくなるくらいなら、ねえどうしよう、お日さまが来ちゃうよ、

夜明け前

ひどい厄災が降ってきた
致命傷だ　ここもじき崩れる

星が燃える　海が浮かぶ
空が落ちる　森が黙る
花が暴れる　光が止まる

呆気ないお別れだ
きみ　きみ
おれの声が聞こえるか
生まれ直す前に最期の頼みだ

おれと一緒に破滅してくれ


本気の恋