テラ

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9/11/2022, 6:02:29 PM

朝と昼と夜が来ることを一日と定義した人は、素晴らしいですよね。春と夏と秋と冬が一周するって気づいた人も、天才なんじゃないかって思う。だれかの叡智が私を人間らしくする。栄養のある食事をとり、散歩しようと街に出る。今年もあと3ヶ月で終わるので、恋でもするかと伸びをする。牛乳を買って帰ろう、明日の朝に飲むためにね。夢の欠片が目の端で発光するので目を閉じる、昨日と一昨日を混同するような今日を重ねるだけで、楽に死ねると思っていた。

カレンダー

9/10/2022, 5:29:56 PM

『恋しい人がいるときは、空を見上げるといいですよ。空は繋がってるから。同じ空の下にあなたの恋しい人は必ずいる』

全部嘘だったんだと知る。だってきみは空も海も風も土も繋がっていない場所に還っていった。綺麗な人。きみを呪えないからぼくはぼくを呪うことにした、だれもかれも殺し回った世紀の凶悪犯のくせをして、ぼくのことは殺してくれなかった、おかげで狩り尽くされた地球は灰色、不毛の大地でぼくはひとりだ、何もないけど散歩する、ずっと何かを探している。

喪失感

9/10/2022, 2:28:40 AM

我々が考えていることなど、ギリシャ人がとっくの昔に考え終わっているのだと、教えてくれた友人がいた。彼女は脳でしかなかったし、私も単なる心臓だった。彼女が送受信する電気信号のひとつひとつにラベルが貼られるのを眺めていた。いまやその全ては分類済、頭のいい人たちはそれらを用いて人類を長引かせる知恵を絞っているらしい。喜ぶべきことだ、ほんとうに。
PMSですね、そう言った医者を殴り殺した。青春だよと言った先生も殺しました。お前は孤独よ、でもお前みたいなひとはありふれているのよと母が首の後ろで囁いている。貴様に何が分かると言うと、なんでも分かる、お前はどこにでもいるからと微笑まれた。

私あなたのことが大好きよ。
ハッピーバースデー。素敵な一年になりますように。


世界に一つだけ

9/8/2022, 4:47:57 PM

心臓なんてないくらいがちょうどいい、オパールの角の白鹿はしゃがれ声で挨拶する、綺麗なものは汚れたって綺麗だ、返り血を浴びても泥に塗れても。

この世のものじゃなくなれば、美しくなれると思った。

朝焼けを産む水平線とは平行線、ぐんぐん染まる東の空が理不尽で僕は泣いた、僕に重力がはたらき、僕に質量があることは憎んでも憎みきれない、魂になっても21gはあるんなら、僕は永遠に救われない、夢のまま死ぬ予定の夢たちが行列をなし、僕はその最後尾に並び、とろとろと微睡む、いつか僕を叩き起こす轟音が響くまで。

胸の鼓動

9/7/2022, 3:08:05 PM

踊るように

かららんらん
瓶が鳴る
呑兵衛どもが打ち鳴らす
酒瓶の音色

かららんらん
鈴が鳴る
息絶えた夏へ
葬送の言葉

かららんらん
骨が鳴る
箱の中に閉じ籠る
生命活動の名残

かららんらん

きがふれたい

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