テラ

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8/22/2022, 1:46:05 PM

鳥のように

人間は多分、人間になりたくなかった。どこか遠くのちゃんとした場所で運悪く、人間って書いたカードを引いちゃって、仕方ないから地球を滅ぼすまでは人間をやっている。その割にはうまくやっているよね、飛行機を作ったり、絵を描いたり、いつも何かになりたがっているけれど。
私も君も人間です。だから人間は怪物だということにしなければ怪物になれなかった。泣き叫んでも人間のまま、死ぬしかない、あの鳥が綺麗だと思いますか。

8/21/2022, 5:47:22 PM

さよならを言う前に

夜を染める灯りの多くは生物兵器、恋人たちのための夜景の中に恋人たちの灯りがあって、そのどれだけが朝になって夜になって二度と灯されることがないんだろう。私あのとき「金輪際さようなら」って言わなきゃいけなかった。人類の数は80億人、そのうち何パーセントと君は恋をしましたか、何パーセントを忘れましたか、何パーセントは顔すら知りゃしませんか。もし私が予知を使えたら君に恋なんかしなかった、そうだろうか、人はいずれ死ぬ、だから恋などしてもしなくても変わらない、だから私たち金輪際さようなら。

8/20/2022, 5:00:51 PM

本当は、些細なことで幸せになれるはずだ、午前中に目が覚めたこと、冷えた炭酸水が喉を滑り落ちること、見上げた空がとても綺麗な青色だったこと。私に軽んじられる尊いものたちは、宇宙人から見たら無価値なもので、私もたまに価値がない気がして、じゃあ私も宇宙人になれるかしら。それもいいね。生きるのに慣れたひとは皆同じ顔で微笑むことができるらしい、人が死んでも眠れなくてもご飯が全然美味しくなくても、ずっと笑っていられるらしい、私も早くそうなりたい。雲が向こうからやってくる。

空模様

8/19/2022, 4:48:29 PM

例えばここが地球だとする、柵からからだを乗り出す君と目が合った、自分がもうまっぷたつになっていることには気づいていなかった、僕は素知らぬふりで「いい夜ですね」と話しかけたが、君の耳は退化していて何も聞こえていなかった、星を指差し微笑むと、君はしとしと泣き出した、君の涙は着弾した、高温だった、僕はうんと首を反らして君を見上げる、そうか分かった、君は彗星になりたかったんだね、お母さんにばかなゆめをみるのはやめろと言われたんだね、つらかったね、かなしかったね、僕は君を見上げ続けた、君が自由落下を始めた夜に、やっと君を迎えにいく。

8/18/2022, 4:15:36 PM

ハロー、お元気? ちょっと前に流星群だったらしいけど(といっても流線群は何回も流れるので、このちょっと前、という表現で君は蝉の死骸、晴れた冬、初めての彼氏、制服のスカート、ブラウン管テレビ、ひとがうまれていなかったころ、を思い浮かべ、きっと僕はいない、いや間違いなく、君にとっての一瞬が僕にとって永遠であるように、僕らは自転の速度が異なる惑星のように鏡張りの宇宙でお互いの姿を視認できないでいる、)
素晴らしい敵、の略が素敵、じゃないらしくて、は? つまんな。と思って辞書を燃やした。私はその火で煙草を吸って、有害になってやった気分で眠りにつく、誰も愛さないと思っていた人が、Instagramにぼけた手が少し映り込む写真を上げるので、私が愛されなかっただけみたい、死です、deathです、君がいつまでも微笑んでいる。

いつまでも捨てられないもの

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