町の写真館の入口に飾ってある
向日葵を持った老婦人の写真
天真爛漫な
太陽のような笑みを見せて
四半世紀
色褪せないのが不思議だった

もし永遠の愛というものがあるならば
それは現像液から造られるのかもしれない


#太陽のような

もし０と無がおなじならば
無の対義語は有で
０の対義語はすべての数だ

気が遠くなるような数を対義語に持たされて
０は重くないのだろうか

それはまるで初めて旅に出るときの
不安いっぱいの重すぎるリュック

だから、１歩だけ踏み出した


#0からの

とぼけ顔のセキレイが
ツバメ達の列に紛れ込んできた
（僕もまぜて！）
一瞬で
ツバメ達は羽を揃えて飛び立った

道化への同情も
侵略への嫌悪も
紙一重

印象はいつも
片面しか受け取れない


#同情

パリパリッ
シャクッ
ザザザ…

まだ誰にも踏まれていない
乾いた枯れ葉を踏む
快感
優越感
ほんの少しのうしろめたさ

冬の並木道で
よこしまな気持ちを全部
使い果たしたい


#枯葉

童話の
王子さまとお姫さまのハッピーエンドをきくまえに
深く深くサンゴ礁の庭へと降りていった

今日にさようなら
またあした
親子として会いましょう


#今日にさよなら