手を取り合って
私たちは、いつだって一緒だった
だから、再会した時は嬉しかった
これからは3人一緒だよね
一件のLINE
 〜♪
 土曜日の夜に数分の差はあれど、メッセージを受信する音が鳴る。
 スマホには、予想通りの相手からだった。
「……全く、いつまでも経っても子どもね」
 それは週末、フルーツパーラーへのお誘いのメッセージだった。
 行きたいのは、あたしではなく。相手の方だったりする。
 毎週、土曜日の夜に向こうから誘ってきて、日曜日の午前中に相手が探してきたフルーツパーラーへ行く。
 あたしの週末は、もう何年もそれを繰り返している。
 行くむねを伝える返信を送り、スマホの明かりを落とした。
「ふふっ……」
 相手は片想いの彼。
 この誘いに乗ってる限りは、毎週彼と一緒にいれる。
 さて、子どもなのはどっちかしら……。
ここではないどこか
もしも、ここではないどこかなら
あなたはあたしを選んでくれたのかしら
もしも、ここではないどこかなら
あなたはその子を選ばなかったのかしら
もしも、ここではないどこかなら
あたしはあなたに気持ちを伝えられたかしら
ああ、もしも……
あたしに勇気があったのなら、この結末は変わっていたのかしら
 真夜中
 この静かな真夜中が好きだ。
 まるで、闇を広げたみたいな真っ黒な空が無限に続く。
 静かかと思えば無音ではなく。
 昼間の交通量と比べれば、少ないがトラックやタクシーが走っているので確かになにかが動いていることがわかるのだ。
 一人になりたいが、別に孤独を感じくはない。
 けれど、思うのだ。
 もしも、当たり前に動いているトラックもタクシーも
つまり、自分以外が動くことがなく寝静まってしまったら……
 僕はなにを思うのだろうか?
 愛があればなんでもできる?
 愛があればなんでもできるのならば、
 きっと、今肩を震わせ下唇を噛みしめ目を潤ませている君を笑顔にすることも可能なのだろうか?
 それができない僕は、愛のない男なのだろうか?
 誰か教えてくれ。