″あぁ 殻に閉じこもりたい″
そんな風になることが、ボクにはある。
いつもどおりの生活を送っていてもいなくても、不定期にくる、低迷期間だ。
身体も心も、とにかく重い。
何をしてもつまらない、というか、何もしたくない。
…とはいえ、生活のためには動かなくてはならず、やることを最低限に絞って、なるべく手抜きをしてやり過ごすようにしている。
しかし、今回はなかなか手強くて、ずっと頭が回らない。まいった。
しかも、そういう時に限って大切な予定が入っていたりする。まいった、まいった。
回らない頭を抱えていたら、案の定、空まで物憂げになってしまった。なんてこった。
低迷期間でも、晴れていたりすると気分もつられてアップしちゃう、なんてことが今まではあったけれど、物憂げな空はなんだかんだ1ヶ月も続いている。
とりあえず、今日の予定は終わった。
ボクは、アパートへの道をとぼとぼと歩きながら、空を見上げる。相変わらず冴えない空だ。でも、なんだかそれを美しいな、とおもう自分に気づく。
「ひさびさに、ビールとつまみを買って帰るか。」
ボクは、回れ右をして、近くのコンビニに向かった。
わたしの お腹に宿った
その 小さな命は
その 顔を みることもなく
空に かえっていった
たった数週間 だけ
わたしを 親 にしてくれた
その 小さな命
小さな小さな命 だったかもしれないけど
大きな大きな存在 だった とも おもう
その本棚は、亡くなった彼女のものだ。
綺麗に並べられた本は、ボクには難しくて分からないものばかりだが、1冊だけ惹かれるタイトルがあった。それは、「Love you」と、金色の文字で印刷されていた。
手に取ってみると、あたたかい柔らかな風が吹いたような気がした。表紙には何も書かれていなかった。そっと本を開くと、懐かしい文字が現れた。それは、彼女の日記だったのだ。
○月○日(☆)
今日は、Yと待ち合わせ。
お気に入りのお店で、日が暮れるまでお喋りをする。
*月*日(&)
今日も、Yと待ち合わせ。
また、お気に入りのお店で、ひたすらお喋りをする。
三行ほどの日記をが、半年分綴ってあった。その半年は、ボクが彼女と出会い、親しくした期間だった。
ボクたち2人はお気に入りのカフェで、お喋りをして過ごすことがほとんどだったから、彼女の日記もそのことばかり書いてあった。
ボクたちの時間は、三行ほどが半年分だった。短いのか長いのかは分からないが、ボクにとっては忘れることのできない、深くて美しい時間だ。
ありがとう、とボクはその本を抱きしめつつ、呟いた。
「太陽のような人になりたい?」
「いいえ、あんなにパワフルなのは、いや。夜空にひっそりと佇む、月の方がいいわ。」
太陽のような見た目とはうらはらに、彼女は眩しい笑顔でこう答えた。どうみても、太陽タイプだ。彼女は、いつも明るく元気で、まわりの人を引っぱっていく役割をさらりとこなしているようにみえる。
そんな彼女の内面は、とても物静かなのだということを、ボクは最近知った。
ボクとふたりきりのときは、彼女は殆ど話さない。だいたいボクから話しかけて、彼女が答えることが多い。
太陽のような、彼女。
月になりたい、彼女。
どちらも、彼女、なのだ。
パワフルな面と静けさの中にある面と、うまくバランスをとりながら、彼女は必死に生きているのだろう。
ボクは、そんな彼女をとても愛おしくおもっている。
なんにもないところから、
なにかをつくりだすというのは、
無理だ、と私のちっぽけな頭ではおもう。
しかし、
ホログラムでもなんでも
今目の前に手で触れるものがあって、
愛するものがあって、
美味しいクッキーも食べることができる。
これらを「もと」に辿っていくと、
みんなひとつのものに繋がって、
つまるところ、
あるものたちぜーんぶが、
ひとつ、らしいのだが、
何度もいうが、私のちっぽけな頭では理解しがたい。とりあえず、″ふーん、そうなんだね″というしかできない。(否定はしない。そうぞうできないだけ。)
でも、
よくよく考えたら、
・だらだらしながなんとなく思ったものが、スマホの広告で流れてきたり
・食べたいなあと思ったら、友だちがかってきてくれたり
・具合悪いなあと思っら、実家の親も風邪ひいてたり
・アンパンマンの歌を歌っていたら、空の雲がアンパンマンみたいだったり
…
そんなことがあると、
やっぱりいろんなものって、
繋がってるんだよなあ、と
感じたりもするのだ。
わたしはちっぽけだけど、
そう考えると、
案外、大っきものなのかもしれない。
ま、大っきくてもなんでも
日々生きるための細々としたことを
必死になったり、
のらりくらりとかわしたりしながら、
寿命まで過ごすしかないので。
(それも、皆いっしょだ)
いまからちょっと用事をこなしてこよう。
しかし、
なんだか朝から
くだらないこと考えてしまったけれど、
そもそもおおもとは、なんなんだろう?
0からのわたしたち。
「0」ってなんなんだろう?