ボクは人のハートメーターが見える。
相手がこれ以上触れられたくないにところに話が進むと数値が100をぎゅいん、と超える。
会話中にあちこち揺れるハートメーターにどうしても目がいってしまうため、なかなか人の目を見て話すことができない。しかも、胸にあるメーターの数値をチラチラみながら話題を変えるから、相当ボクは怪しい人間だ。友だちになんかできるわけない。(ちなみに、鏡をみて自分に話しかけても自分のハートメーターはみえないのだ。)
たまーに、ボクの胸あたりをチラチラみながら話をする人がいる。もしかしたら、その人もボクみたいにハートメーターがみえているのかもしれない。今度そういう人に出会ったら、“胸に何かみえますか?”って思い切って聞いてみようかな。友だちになれるかもしれないから。
久しぶりに図書館に行った。
ぷらぷらと館内をめぐり、ふと目に入った本を1冊だけ借りた。
近くのコンビニでサンドイッチとオレンジジュースを買い、公園のベンチに座ってその本を読み始めた。数ページ進んだところで、何かがはらり、と落ちた。足元を探したが見つからない。
気のせいか、と本に目を戻すとキラリと光る栞が挟まっていた。羽根のかたちの美しい栞。そっと手にとると辺りが輝きはじめた。目の前の噴水も近くの木々も人々もみな消えていく。僕だけが、その輝きの中にいた。
…気がつくと懐かしいあの場所にいた。
大好きだったお姉ちゃんが、僕に絵本を読んでくれていた。僕は姉と二人暮らしで、寝る前のこの時間は幸せだった。とても、とても。笑顔で本を読む姉の顔を見つめていたら、たまらなくなり涙が溢れた。
……目をこすると、元の公園にいた。姉はいない。ただ、姉が読んでくれた絵本が僕のこの手元に残っていた。
幼くして亡くなってしまったもの
人や動物、植物もいろいろな理由でこの世を去った魂たちが
あちらこちらから やってくる
夜になると
ほのかな光とともに火が灯され
魂たちは輝きはじめる
命があった間の素敵な出来事だけを思い出し、思う存分味わって
さいごは 笑顔で旅立つ
明け方
たくさんの光が
ゆらゆらと 天にのぼってゆく
迷い子の森の ひみつのおはなし。
ぴゅ~~~っと 風が
だいぶ寒くなってきた
「さぁ みんな お気に入りを集めて!」
くまのママが 声をかける
子ぐまたちは
あちこち バタバタ
こちらを ガサガサ
そっちを ゴソコソ
「できたー!」
と一斉に子ぐまたちの元気な声がした
パパにもらったトカゲのぬいぐるみ
バァバにもらった小さなポーチ
ジィジと集めたどんぐりのあたま
ママにつくってもらったあまーいハチミツ
………
たくさんのものに囲まれて
仲良くベットに潜り込む子ぐまたち
さぁて じゅんびばんたん
寒い冬がきても もう大丈夫!
泣きわめく我が子を
私は笑って抱きしめた
約束したから
私たち大人は泣かない と
我が子はまだ幼くて
ようやく歩き始めたあの日
久しぶりに会いに来た彼は
まるで本当の父親のように
一緒に公園で砂遊びをしてくれた
夕方になり 彼は彼の家に帰る
私たちは 私たちのアパートに帰る
泣きわめく我が子を
優しく抱きしめ
公園で過ごした
わずかな時間が
永遠であったら良かったのに
と、おもう。