ね。

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久しぶりに図書館に行った。
ぷらぷらと館内をめぐり、ふと目に入った本を1冊だけ借りた。

近くのコンビニでサンドイッチとオレンジジュースを買い、公園のベンチに座ってその本を読み始めた。数ページ進んだところで、何かがはらり、と落ちた。足元を探したが見つからない。
気のせいか、と本に目を戻すとキラリと光る栞が挟まっていた。羽根のかたちの美しい栞。そっと手にとると辺りが輝きはじめた。目の前の噴水も近くの木々も人々もみな消えていく。僕だけが、その輝きの中にいた。



…気がつくと懐かしいあの場所にいた。
大好きだったお姉ちゃんが、僕に絵本を読んでくれていた。僕は姉と二人暮らしで、寝る前のこの時間は幸せだった。とても、とても。笑顔で本を読む姉の顔を見つめていたら、たまらなくなり涙が溢れた。




……目をこすると、元の公園にいた。姉はいない。ただ、姉が読んでくれた絵本が僕のこの手元に残っていた。

11/9/2025, 3:34:11 AM