草っぱらで大きなバッタをつかまえた
ビニール袋をもっていたので
餌になる葉っぱといっしょに入れて歩く
もっと歩いていくとイベント会場で
子どもたちに風船を配ってくれてて
ぼくも赤い風船をもらった
ビニール袋と風船を結びつけて
片手で持ちやすくして走る たったった
揺れる風船を見ながら走ったら、転んだ
転んだ拍子に風船は手を離れた
みるみるうちに高くのぼっていく
…バッタを連れて
風に吹かれて遠くまで
その後のことは想像できない
ごめんね、ごめんね
葉っぱ、きっともっといるよね
膝と胸がどっちも痛い
「風に乗って」
#406
よりによって入試本番のその朝は
前日から降り積もった雪が道を凍らせ
(す、べ、ら、ないように…!)
なんて言葉が思い浮かぶのもいやなこと、
そろりそろりと でも気持ちは急いて
試験会場になんとかたどり着き
開始までに冷え切った手を温めようと
ポケットに入れた使い捨てカイロを
取り出そうとしたその刹那
「無い…!?」と思わず声が出て
血の気が引くのを感じながら全ポケットを捜索
無い、無い、、無くとも試験に支障はないが
(落、と、し、た…)その事実が
あまりにも縁起悪くてもうダメだ
なんとかやっと答案を埋めたっけ
今なら些細なことと笑えるけれど
あの時はほんとうに身も凍ったのよ
「刹那」
#405
小さなことに
いちいち感動して生きるぞ
もう人間として生まれてくることは
ないかもしれないから
「生きる意味」
#404
よい草もわるい草もない
よい虫もわるい虫もない
必死に生きているだけ
よい人間もわるい人間もないのだろう
善悪も美醜も
小さな世界の中の 遷ろう概念
それでも願う 善く美しく
はかない命を生きるために
「善悪」
#403
おとなになったら
「ピンクの流れ星になりたい!」
そう言っていた娘
流れ星(しかもピンク)になって
どうするのだろうかと思いながら月日は経ち
泣いたり笑ったり 憤慨してまた笑って
あっちへ行ったりこっちへ来たりしては
出会って別れてまたの出会いがあり
いつの間にか立派なおとなになって
健やかに、幸せに、
というわたしの願いを叶えてくれていて
これがピンクの流れ星だったのね
「流れ星に願いを」
#402