あなたのことが大好き
あなたを好きなほかの誰よりも
いままでも
これからもずっと大好き
ほかの人を好きになったりしない
あなたのことだけ あなただけ
「誰よりも、ずっと」
#386
時が過ぎると思わなかった
時よ止まれと願わなかった
ただ毎日が
同じ日々が続くと思ってた
「これからも、ずっと」
#385
きょうだい並んで見つめる水平線
太陽が紅を濃くしながら降りてくる
特大線香花火の熱いしずく
静かな海面に刻々と近づいて
「ジュッていうかな」
「うん、もうすぐジュッていうよ」
さん、に、いち、
「ジュッッッッ!!!」
おとなになっても聞こえるかな
夕日が海に沈む音
「沈む夕日」
#384
君の目に
ゆらゆらと不安がよぎる
でも精一杯明るい調子で
「気分はどう?」とたずねてくる
「気分は悪くないわ」
そう答えたわたしも不安だ
この青年は誰だろう
見覚えがあるような
何か懐かしいような
わたしの手をとり
「心配したよ」と言う
「ごめんなさいね、ありがとう」と答える
あっ、これはわたしの夫ではないか
こんなに若々しかった?
いま何歳だったかしら
そもそもわたしはいくつだろう?
「ねぇ、あなた今年何歳になる?」
「嫌だなおばあちゃん、僕ももう24だよ」
「来週のお花見までには元気になってよ、
久しぶりにみんな集まるんだから」
………
頭の中が揺らぎながらゆっくりと動きはじめる
そうか、なるほど、こうなるのか
お花見には何としても元気に参加しなくては
時は優しくも厳しいものだから
「君の目を見つめると」
#383
公園のすべり台に寝そべって
星空を見上げるわたし
わたし
すべり台
公園
わたしの街 鉄道
岬 海岸線
本州 日本列島
ユーラシア大陸 太平洋
ゆっくり回る地球
月 火星 大きな太陽
太陽系 銀河系
わたしが見上げていた星々のずっと先
…思い切り遠ざかった意識を
逆回しのようにゆっくり戻す
遠い遠い空からのスカイダイビング
太陽 青い地球 光る日本
そして小さな公園へ
旅から戻ったわたしの心に
もう 悩みはない
「星空の下で」
#382