君の目に
ゆらゆらと不安がよぎる
でも精一杯明るい調子で
「気分はどう?」とたずねてくる
「気分は悪くないわ」
そう答えたわたしも不安だ
この青年は誰だろう
見覚えがあるような
何か懐かしいような
わたしの手をとり
「心配したよ」と言う
「ごめんなさいね、ありがとう」と答える
あっ、これはわたしの夫ではないか
こんなに若々しかった?
いま何歳だったかしら
そもそもわたしはいくつだろう?
「ねぇ、あなた今年何歳になる?」
「嫌だなおばあちゃん、僕ももう24だよ」
「来週のお花見までには元気になってよ、
久しぶりにみんな集まるんだから」
………
頭の中が揺らぎながらゆっくりと動きはじめる
そうか、なるほど、こうなるのか
お花見には何としても元気に参加しなくては
時は優しくも厳しいものだから
「君の目を見つめると」
#383
4/7/2024, 4:34:43 AM