11/7/2023, 1:11:19 PM
「おはよう」
そして
「おやすみ」
もうさよならはいらないよ
「あなたとわたし」
#242
11/6/2023, 11:07:16 AM
ずっと学校に行けなかった
行くのが怖かった
みんなはどんな目をして見るだろう
どんなことを言われるのだろう
冷たい雨を想像すると
身がすくんで外には出られなかった
だけどある日
そうっと行ってみた
みんなが体育の授業をしている時に
体育館の小さな窓から覗いてみたんだ
見つからないように
そうしたら 見つかっちゃった
背筋が凍るようだった
でも
その子はものすごく嬉しそうな顔で
窓に駆け寄って来てくれたんだ
気づいた他の子も次々と
みんなあったかい笑顔で
久しぶりに会ったぼくを取り巻いて
凍っていた心がとけだした
あんなに怖かったのに
いまは照れくさいや
「柔らかい雨」
#241
11/5/2023, 1:14:47 PM
暗闇の中 輪になって座り
何も見えないままで
鈴の入ったボールを転がす
誰かの手元から あちらへこちらへ
あっ これは 私に向かってやってくる
細く まっすぐに光る鈴の音
「一筋の光」
#240
11/4/2023, 1:21:26 PM
降りしきる雨の音を
濡れた土のにおいを含んだ風を
朝の窓の隙間に向かい
黙って全身で受けとめている
そんな愛犬の横顔
「哀愁をそそる」
#239
11/4/2023, 5:43:14 AM
「恋しいときにはこれをご覧」
娘にそう言い残して亡くなった母の
その言葉通り
寂しいときにそれを覗き込むと
若き日の母の面影が見える…
それは鏡がまだ珍しかったころの昔話
大きな西洋鏡に映るちんちくりんが
自分の姿と知って驚いた明治の人々
いま 当たり前のように
鏡の中に見慣れたその顔も
手元で不意に映りこむ画面の顔とは
同じであって同じでない
鏡が映すその先に その奥に
何を見たいと願うだろう
見たいものだけ見てしまうから
「鏡の中の自分」
#238