二重窓を覗き込むと
眼下に広がる街並み
あの丘の教会 ピクニックした公園
機体が旋回して
お世話になった小児科の角
幼稚園の庭も見えた
景色は急速に小さくなって
わたしたちの過ごした毎日も
急に遠のいて行ってしまうようで
泣いて笑ったあの日々は
きっと私たちを成長させてくれた
たくさんの思い出をありがとう
この街の乾いた風を
花々の香りを ひとひらの初雪を
忘れないよ
「窓から見える景色」
#222
枯葉たちが恋に舞い落ちていく
世界が愛に染まっていく
「秋恋」
#221
ミルクティーの色をしたこぐまちゃん
森の向こうのお花畑に向かいます
ぽふん、ぽふん
やわらかな足であるくと、
ひと足ごとにミルクティーの香りがします
森の向こうのお花畑で、
お花摘みをするのです
春を楽しみに待っているおかあさんに
この春いちばんに咲きはじめた
いちばんきれいなお花をあげたくて
あっ、たいへん
夢中になっていたら、もう暗くなってきました
急いでかえらないと おうちで心配しています
ぽふん、ぽふん いそげ、いそげ
ミルクティーの甘いかおりとお花のかおり
森を抜けておうちへ急ぎます
おうちの明かりが見えてきました
あぁ、よかった
ただいま!!
おかあさん、見てみて!きれいなお花だよ!
まぁ、ほんとうに何てきれいなお花でしょう
森の向こうまでお花を摘みに行ってくれたの?
ありがとうありがとう とっても嬉しいわ
お外はすこし寒かったでしょう
あったかいお茶とクッキーをどうぞ
こぐまちゃんとおなじ香りの
あまーいミルクティー
さくさくクッキーと嬉しそうなおかあさんの顔
なんだかしあわせなきもちでポカポカ
「花畑」
#220
降りしきる雨の中
傘ももたずに歩く
全身を濡らし
身体が心と同じに冷え切るまで
涙が溢れて止まらない
わたしと空がひとつになる
「空が泣く」
#219
アドベントカレンダー
クリスマスまでのカウントダウン
遠い日あなたが手作りしてくれた
一日ごとに出てくる動物たち
シマウマ キリン ゾウにサイ
ヘビクイワシと青いコマドリ
楽しい旅の思い出がよみがえる
最後の窓は何だろう
笑顔の二人の写真と
Will you marry me? の文字
新しい幸せへの
カウントダウンに驚いたあの日
「カレンダー」
#218